炉や槽の詰込み問題に答える

2022.08.10生産計画コンサルタントに聞く

アスプローバ社 コンサルタントに聞く② 荻田貴紀

 アスプローバ社が、生産スケジューラAsprovaのオプション機能として開発したSolver(ソルバー)は、これまでのスケジューラの概念を変えるような存在になりそうです。その第2号「S2」について、アスプローバ社のコンサルタントである荻田貴紀(おぎた・たかのり)さんに聞きました。

バッチ処理する熱処理炉の課題~膨大な組み合わせ

- S2とは、どのようなものですか。

 1回の処理でたくさん詰込んで処理をしたい、というバッチ処理が対象です。「炉や槽の詰込みを最適化するスケジューリング ~作業の組み合わせ探索~ S2」というのが、正式な名前です。

 バッチ処理はいろいろありますが、頭に浮かびやすいのは熱処理炉です。組み合わせの数は種類が増えると膨大になります。5つのものから2つを選ぶ組み合わせは、5×4÷2=10通りにすぎません。ところが50個のものから20個を選ぶ組み合わせになると、約47兆にもなります。

 数百、数千の作業で組み合わせを考える、というのは無茶なことのように思えます。納期もあるし、他にも考慮すべき点があります。従来の「標準ロジック」でルールを設定したり、いろいろな工夫をしたりしても、自動スケジュールで出てきた結果にご満足いただけないことがありました。そうなると、手で修正して対応することが前提になってしまいます。

 S2は新しいロジックで、そうした課題に対する解決法を提供します。

バッチ処理の課題が解決できるのが第一

- 実際の生産現場に導入した結果はどうですか。

 S2は、すでに複数社でSolver PoCを進めていて、よい結果を得つつあります。多数回、たとえば100万回の反復改善を実行し、徐々にいい結果を出していくのがSolverの特徴です。ところが、最初にトライされたお客さまは、Solverに実装した新機能によって、反復改善しなくても、Solverのスケジュール結果に満足していただけました。

 初期のソリューションセミナーでは、この実例を紹介していました。Solverの大きな「売り」である反復改善がないのに「いいの?」と、社内の会議で聞いてみたのですが、みなさんから「別にそれでいい」といわれ、安心して進めることができました。次のお客さまの時は、反復改善で成果が出てきました。現在はセミナーの内容も、そちらの方に変えています。

 Sovlerによって、今までは難しかったことができるようになります。一方、Asprovaの標準ロジックでもいい結果が出ることがあります。それはそれでOKだと思います。お客さまの困っていることが改善できて、効果が出ればいいのです。

充電槽や研磨工程でも使える

- これからの見通しはいかがでしょう。

 難しいことでも解決できてしまうSolverには、さらに期待がふくらみます。熱処理炉を実例としてセミナーで紹介していますが、それだけではなく、複数の品物を一気に処理する製造工程なら、S2で解決できるでしょう。バッテリーの充電槽工程では実績があります。また研磨の工程は、研磨する機械の上にいろいろなものを並べますから、適用できると思います。

- 荻田さんご自身のことを聞かせてください

 私は、若いころにアルバイトをしていた会社にそのまま新入社員として入社しました。そこで創業者の高橋邦芳さんとご一緒させていただきました。その後、高橋さんが生産スケジューラを始めるにあたり、新しい会社に誘ってくれ、仕事をしながら実務であったり、生産スケジューリングのことを身につけていきました。右も左も分からずといいますが、私は360°全部分からず、でした。バタバタしながらも、ここまでやってこれました。年月が流れても、今もバタバタしていることには変わりがありませんが。

 これからもSolverを多くの人に知ってもらえるよう努めたい、と考えています。



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タグ : 熱処理工程 生産スケジューラ 生産スケジューリング最適化
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コラム編集部

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