次世代の最適化ロジックSolverと開発体制~アスプローバ社長・田中智宏が語る
2022.11.07S0: Solverオプション(最適化) , X1:アスプローバ社員インタビューアスプローバ社の現社長、田中智宏(たなか・ともひろ)さんに、生産スケジューラと会社の現在の到達点、そして目指しているところを聞きました。前半はAsprovaのオプション機能であるSolverと、開発チームについてです。田中さんは1975年東京生まれ。東工大修士課程を修了後、2001年に新卒入社し、2019年に創業者高橋邦芳さんの後を受けて社長に就任しました。個性を生かしたチームを作り上げ、画期的なソフトウエアを市場投入しています。
使いやすさを求めて
ー スケジューラAsprovaは順調に普及しているようです。それに新たな要素を取り入れたのはなぜでしょう
Asprovaはいわゆるルールベースで答を高速に出す計算機です。ルールとは、計画パラメタやマスタ(基礎となるデータ)設定のことです。ルール設定すれば自社の計画が立案できるということで世界中から好評をいただき、導入本数も3000本を超えました。
弊社は1994年に創業して28年になります。機能をどんどん追加していくにつれて、機能同士が干渉したりして、お客さまが設定で苦労する場面が見られ始めました。お客さまが勉強する量も増えてしまう。このペースで機能を追加していくと、そうした悪影響が見過ごせなくなってくると思いました。
また、ルールベースのロジック自体の限界も見えてきました。どんなにルールを細かく設定しても、工場のニーズに応えるのが難しい場面があります。「生産スケジューラの理想はこうじゃない」という思いはずっと前から抱いていました。
ー そこでSolverが登場したわけですね
ルールベースのロジックとは全く異なる、コンピュータが自分で答を探す次世代のロジックをそろそろ作る必要があると感じられました。運よく優秀なエンジニアと出会う事ができ、短期間でSolverを世に出すことができました。今の開発チームあってのSolverです。
2021年年頭のS1(生産の平準化)から始まり、S2(炉や槽の詰め込み最適化)、S3(納期と段取りの両立)、S4(欠品せずに在庫を最小化)、S5(ループコンベア)まで完成し、さらに新たなSolverを開発しています。
個性あふれるチーム
ー 開発チームには、どんな人たちが集まっているのですか
一般的にはエンジニア、特にプログラマは、人前で話をしたり、プロジェクトをリードしたりするのが苦手な傾向があります。弊社のエンジニアも、そういう傾向は同じではあると思います。しかし、比較的、難度の高いプログラミング言語であるC++で仕事をしたい、1つの事に腰を据えて粘り強く取り組むのが性に合っている人が集まっているように思います。
知人からは「Asprovaには数学がわかるエンジニアが多い」と言われたこともあります。そのような気骨がある人が多いかもしれません。そういう面で、他のITエンジニアの職場とは雰囲気が違うようです。
お客さまとのコミュニケーションが上手な人、社内の他のチームを横断して仕事が出来る人、プロジェクトをリードできる人、最適化のプログラミングに特化している人、自分の感性でプログラムを作って開発の局面を打開できる人、面倒見の良い人、黙々と仕事をこなす人など、さまざまなエンジニアがいます。これらの優秀なエンジニアがうまく協力することで、個人ではできないような優れた製品開発ができる良いチームになってきていると思います。
ー 田中さん自身はどんなタイプですか。休日はどうしていますか
昔はよくわからないことを言ったり、したりで、周囲に迷惑をかけてきたように思います。今もそうですが、少しはマシになったかもしれません。昔、会社で「田中さんは気分屋」と言われたことがありますが、その通りだと思います。良いソフトウェアを作るには、もう一皮むける必要があると思います。
こう見えてスポーツが好きで、学生時代はボート部に所属していました。4年間合宿所生活で結構きついんですが、あの経験はかけがえがありません。今春からテニスを始めました。今47歳ですが、この歳で新しい事を習うのは結構新鮮です。自宅近くに軟式テニスの市民クラブがあり、休日は屋外コートで汗を流しています。初心者を見るとテニスを教えたくて仕方のないシニアの方がたくさんいて、いろいろなことを教えてくれます。私もいい歳ですが、その人たちからするとひよっこのように見えるようで、「もっと走れ!」「ボール拾え!」とか指示されます。もう仕事でそういうことを言われなくなったし、うまい人からそうやって指示されるのも嫌いではないので、中学生に戻った気分を楽しんでます。実は、やる前から結構自信があったのですが、のみ込みが早いと褒められることが多く、気分を良くしてます。褒められるのはやっぱりうれしいですね。今は一週間がテニスを中心に回っているようです。褒めたり、教えたりするときの自然な関係を会社の中でもっと作れたらいいなと思っています。
そのほか、子供たちはインドア派なので、休日は子供とゲームをします。「にゃんこ大戦争」は全クリアしましたし、今は「スプラトゥーン」で競い合ってますが、反射神経で小学生の子どもたちにかなわなくなってきたな、と感じます。
コラム編集部
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