【ワイヤーハーネスのAI生産スケジューリング 3】解決策 ~ 同時に解くという発想

2026.07.13A1:生産計画・スケジューリング , S08:金型や治具を使う工程で納期遅れと段取りを最少化したい

全5回の3回目です。前回は現場の4つの課題を整理しました。今回はそれらを一つずつ潰すのではなく、まとめて一つの計画に解く方法を見ていきます。

発想の転換 ―― 別々に対応から、まとめて考えるへ

段取り・ロットサイズ・納期変動・在庫は、これまで別々の担当がそれぞれ対応してきました。しかし4つの課題は互いに影響し合うため、良かれと思って一つに手を打つと、別のところにしわ寄せが出てしまいがちです。大事なのは、設備・作業者・治具・納期・段取りといった条件をまとめて考え、一つの計画にすることです。これを行うのが生産スケジューラで、その計画づくりをより賢く行うのが最適化AIです。

最適化AIができること (1) ―― 良い計画を作る

最適化AIの働きは、大きく二つに分かれます。一つは、そもそも崩れにくい良い計画を最初に作ること。もう一つは、それでも崩れたときに素早く立て直すことです。まずは前者、計画を良く作る4つの要素です。

最適化の要素何をするか対応する課題
1. ロットサイズ最適化納期遅れと段取り時間を最小化するようにロットサイズを決める課題2(ロットサイズ)
2. 作業の機械への割付けどの作業をどの機械で行うかを割り付ける課題1(多品種と段取り)
3. 投入順序最適化電線・端子・配線板が似た品番を並べ、切替を減らす課題1(多品種と段取り)
4. 工程の同期前後工程を同期化し、工程間の待ち時間を短くする課題3(在庫)

これら4つの要素は、第2回の4つの課題に対応します(課題1には機械への割付けと投入順序の2つが対応します)。ポイントは、個別対策の寄せ集めにせず、まとめて扱うことです(その具体は後述します)。

最適化AIができること (2) ―― 崩れたら立て直す

どれだけ良い計画を立てても、急な仕様変更や飛び込みのオーダ、設備トラブルで計画は崩れます。ここで効くのが、残る課題4(納期変動への対応)にあたるリスケジュール(計画の即時組み直し)です。これは計画を作る4つの要素とは役割が違い、立てた計画が崩れたときに、その場で立て直す働きです。

リスケジュールなら、あるオーダを差し込んだときに他のオーダがどう動くかまで、一度に計算し直せます。だから、目先の1件を助けるために別の数件を犠牲にすることがなくなり、前回の「特急対応がさらに特急対応を呼ぶ」悪循環を断てます。特急対応に追われる代わりに、全体を見て順番を決められるのです。

同時に解くとはどういうことか

人手の計画は、たいてい「まずロットサイズを決め、次にどの機械へ割り付けるかを決め、最後に作業の並び順を決める」というように、一つずつ順番に片づけていきます。ところがこの進め方では、先に決めたことが後の工程を縛り、しわ寄せが出ます。たとえば早い段階でロットを大きくまとめてしまうと、並び順をどう工夫しても納期に間に合わない、という具合です。最適化AIは、ロットサイズ・機械への割り付け・並び順を一度に扱うため、「あちらを立てればこちらが立たず」という関係もまとめて調整した計画が得られます。ここが従来との決定的な違いです。

結果 ―― 納期を守りながら段取りを最小化

良い計画を作り、崩れても素早く立て直す。この二段構えで、納期遅延件数を抑えつつ、似た段取りをまとめて総段取り時間を小さくできます。段取りがゼロになるわけではありませんが、大ロットと小ロットの良いとこ取りに近づけます。

あなたの工場の課題は、「別々の問題」でしょうか。それとも「一つの計画で解ける問題」でしょうか。

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