ユーザーが語る新たなAsprova~ユーザー会2025~

2025.12.03X3:コンサルタントダイアリー

全国各地で生産スケジューラ「Asprova」を使う人たちの集まり「Asprovaユーザー会2025」が、11月14日、東京・ミッドタウン八重洲で開かれました。会の目玉はユーザー自身によるお話です。社員によるインタビューを交えながら、生産管理を担当するベテラン技術者2人が語りました。

現場との意思疎通を改善

わかりやすい画面が好評を得ている新機能「My Schedule」について、芝浦機械(東京都千代田区)の杉本省吾さんが話しました。同社は産業機械の老舗で、杉本さんは部品加工を担う「生産センター」の生産技術課で、生産管理を担当しています。生産現場との意思疎通が課題だったといい「スケジューラを導入した後、現場にどう示し、どうフィードバックをもらうかが課題でした」と振り返ります。

「2023年のユーザー会でMyScheduleの開発計画を知り、われわれが求めていた機能に合致していたためPoC(概念実証)の実施をお願いしました。生産指示書などの画面を作成し、社内ホームページからもアクセスできるようにしたところ、現場からも、これはいいねという声をもらいました」といいます。

「スケジューラに示されるチャート類は複雑で理解しにくいものですが、My Scheduleでは視覚的なわかりやすさが工夫され、進捗状況や納期が迫っている状況が一目でわかって、対策ができるようになりました」とも。

「現場がスーっと入っていけるものを聞き出すのが難しかった。だめもとでやってみよう、満点でなくてもいい、として着手するといいのでは」とアドバイスを送りました。

やっとできた平準化

もう一人の登壇者は、金属部品の設計・製造を手掛ける北日本テクノス(石川県小松市)で生産管理を担当する広中一彦さんです。15年以上前から生産スケジューラで「平準化」を実現するよう訴えていました。広中さんは、ユーザー会冒頭の田中智宏社長あいさつの中にも登場しました。田中さんは「2009年ごろ石川県を訪れ、広中さんから要望を頂いたのですが、当時は“それは難しいです”と答えることしかできませんでした。心苦しく思いながらも。それがようやくSolverで実現できました」と話していました。

広中さんはこう述べます。「製造業は3K職場と思われて、人を集めるのに苦労します。アジア諸国からの研修生もいます。最近の傾向は、2連休がほしいけれど、平日はほどよく残業して稼ぎたい、といった要望を出してきます。そこで繁閑にかかわらず、年間を通してこうした勤務形態を実現する必要があります。これまでは担当者がエクセルで計画を立てていましたが、それは複雑怪奇なものになり、その人しか立てられないのです」。

こうした状況を受け、広中さんは、どんな機能を持ったスケジューラが必要なのか検討しました。「現場からの要望は、未来を見据えてだらかに増減させたいです。また一日の上限は整数でないこともあります。さらに納期は守りたいが、能力を超えた生産はできない、といったことです。これらは従来のスケジューラの標準機能では無理でした」。

Asprovaのオプション機能として開発されたSolverは、こうした要望に対応できたといいます。「評価は、熟練者が立てた計画と同等でした。実際には80%の一致です。相違点は昔からの気遣いでした。そこで担当者と話し合った結果、Solverが出してきた結果のうち、99%を採択できまることがわかり、20年近く求めていたものができた、と感じました」と広中さんは述べました。

一方で課題も指摘しました。「運用するためのマニュアルを作らなくてはなりません。とくに初心者にはとっかかりが難解で、後継者が育たず、維持ができなくなるという心配があります。この度、“Techアシスタント”が導入され、疑問点が即座に解決できるので、救いの神が現れたと感じました。でもまだ不十分な点があります。さらに学習を重ねてBOM(部品表)の自動作成、式の自動作成ができれば、と思います」と結びました。

img_banner_aps