サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?成功事例や導入手順をご紹介

2021.02.05A0 生産管理
サプライチェーンマネジメント

サプライチェーンマネジメントは、1980年代にアメリカのコンサルティング会社ブーズ・アレン・ハミルトンで使われるようになった言葉です。

2000年前後、サプライチェーンマネジメントがブームとなり多くの企業が導入しました。現在は、当時サプライチェーンマネジメントに成功しなかった企業による導入や再導入が増加しています。なぜ、サプライチェーンマネジメントが再び導入されるようになったのでしょうか?サプライチェーンマネジメントが再び注目を集めることになった詳しい理由と、サプライチェーンマネジメントの導入方法について説明します。

【目次】
■ひと目でわかる!「サプライチェーン(サプライチェーンマネジメント)とは?
・サプライチェーンとは
・サプライチェーンマネジメント(SCM)とは
■サプライチェーンマネジメントの成功事例
・洗剤や化粧品を扱う化学メーカー
・アパレルメーカー
■サプライチェーンマネジメントを企業に導入しよう
・サプライズチェーンマネジメント導入を助けるツール
■サプライチェーンマネジメントが注目される背景って?
・企業のグローバル化
・ビジネスモデルの急速な変化
・労働環境の変化
■ますます重要視されるサプライチェーンマネジメントの存在

ひと目でわかる!「サプライチェーン(サプライチェーンマネジメント)とは?

サプライチェーンマネジメントを理解するために、サプライチェーンとサプライチェーンマネジメントについて解説します。

サプライチェーンとは

サプライチェーンを日本語に直訳すると「供給連鎖」という意味になります。具体的に説明すると、製品を作る際の「原材料の仕入れ」からはじまり、「材料の加工」「製品の組み立て」などを経て、消費者の手に渡るまでの供給の3つのプロセスを指した言葉です。

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上図は、製品の製造工程をカンタンに可視化したものですが、この「流れ全体」を指してサプライチェーンと呼びます。原材料を販売している企業、製品の加工や組み立てを行っている企業、実際に製品を消費者に届ける販売店などがサプライチェーンということになりますが、更にはその間の物流を請け負っている運送会社などもサプライチェーンに含まれます。サプライチェーンは、製品が消費者の元へ届くように流れていくのと対比して、お金と情報は反対方向へ流れて行くという特徴があります。

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは

サプライチェーンマネジメントとは、その名のとおりサプライチェーンの流れを包括的に管理(マネジメント)することです。このサプライチェーンマネジメントには、サプライチェーン全体を最適化することで無駄を省き、作業の効率化をはかる目的があります。サプライチェーンマネジメントを行うことによって、消費者が必要としているものを、最小限のタイムラグに抑え、必要な分だけ供給するのが基本です。無駄を省いて作業の効率化が実現すれば、企業の利益向上にもつながりやすくなります。

なお、サプライチェーンマネジメントの導入方法はコラムの後半で解説しますが、導入には「生産スケジューラ」が重宝します。「生産スケジューラってどんなもの?」という方は、生産スケジューラの基本情報や成功事例などを掲載した以下のページをご参照ください。事前に生産スケジューラについて理解を深めておくと、サプライチェーンマネジメントの実現が成功しやすくなります。

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サプライチェーンマネジメントの成功事例

サプライチェーンマネジメントとは

まずは、サプライチェーンマネジメントの利点を解説するため、サプライチェーンマネジメントに成功している企業の事例を紹介します。

洗剤や化粧品を扱う化学メーカー

化学メーカーの中には、需要予測のサプライチェーンマネジメントを行っている企業も少なくありません。店舗別、使用品別の販売に加えて季節変動要素を含めることで、安定的で効率的な供給が可能となっています。輸送コストの管理のデータベースを構築しているだけでなく、車種と輸送ルートの最適化も行っています。販売実績を元に先の重要予測を行っているため、現在では新製品であっても一週間で予測が可能となっています。

アパレルメーカー

アパレル業界でも、サプライチェーンマネジメントを企業運営に取り入れるケースが広がっています。企業によっては、二週間以内に生産を行い消費者に届けるという今までになかった方法を取っています。生産から配送までを二週間以内に行うことは今まで考えられないことでしたが、サプライチェーンマネジメントの一部であるアキュレート・レスポンスを活用して二週間以内の製作を可能としました。

スムーズな流通や在庫の最適化などが実現できれば、消費者ニーズに対応しやすくなります。その結果、大きく売り上げを伸ばす企業も珍しくありません。サプライチェーンマネジメントの主な利点は、リードタイムの短縮がはかれることや、在庫の最適化、経営の安定などが挙げられます。2000年頃にはサプライチェーンマネジメントの導入に失敗する企業が多かったのですが、導入の正しい手順把握すれば、上記のような成功を収めやすくなるでしょう。

以下の項からは、サプライチェーンマネジメントの導入方法について解説します。

サプライチェーンマネジメントを企業に導入しよう

サプライチェーンマネジメントの課題

サプライチェーンマネジメントの具体的な導入手順は以下のとおりです。

  • サプライチェーンマネジメント(SCM)の範囲決定(原材料の調達・仕入れから商品販売まで等)
  • SCMに携わるメンバーの選出
  • SCMリーダー企業の選出
  • SCMインフラを構築
  • 情報共有とリスクの共有

サプライチェーンには、マーケティングの4PといわれているProduct(プロダクト:製品)、Price(プライス:価格)、Place(プレイス:流通)、Promotion(プロモーション:販売促進)の4つの要素が大きな役割を果たしています。これらの要素にサプライチェーンは大きな役割を果たします。なお、サプライチェーンマネジメントを推し進めるには、経営戦略の5つの基本的要素である「顧客サービス」「販売チャネル」「バリューシステム」「オペレーションモデル」「資産配置」にも着目する必要があります。要素別の解説は、以下のとおりです。

経営戦略の考え方
要素 概要
顧客サービス 顧客のタイプそれぞれに合わせた
デリバリーのスピードや正確さ、柔軟性に関する提供レベルを設定します。
販売チャネル 顧客が自社の製品やサービスをどのように発注して、どのように受け取るのかを
ターゲットとする市場や地理的な条件を踏まえて設計します。
バリューシステム サプライチェーン全体の中で、自社・パートナー企業が
それぞれ担当する役割を明確に設定します。
オペレーションモデル 製品やサービスを「どのように生産するか」といった
それぞれの意思決定を総合したものです。
資産配置 工場や倉庫、サービスなどの有形資産と人材や情報システムなどの無形資産を
サプライチェーン全体の中で、どこにどれだけ割り当てるかを明確に設定します。

サプライチェーンから戦略的なメリットを引き出すには、各要素全てに着目する必要はありません。とはいえ、1つだけに着目して他の要素を検討しないとメリットを最大限に引き出せない可能性があるため、それぞれの要素を全体の一部として捉えると良いでしょう。

サプライズチェーンマネジメント導入を助けるツール

製造業におけるサプライチェーンマネジメントは、「製造工程の全体像」の把握が必須となります。

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これは、全体像を把握することによってボトルネックを発見しやすくなり、製造工程の改善ポイントがより明確になるからです。そこで、生産スケジューラ「Asprova」の導入を推奨します。Asprovaなら、サプライチェーン全体を可視化できるため、材料購入や製造などのスケジュールを同期させて無駄(在庫)のない製造、リードタイムを短縮が実現できます。Asprovaは、高い機能性に加えて直感的でわかりやすく操作しやすい画面とUIを採用しており、どなたでも効率的に生産計画の作成が可能です。

以下の専用ページでは、Asprovaの機能や導入方法・成功事例を紹介しています。少しでもご興味のある方は、まずはこちらをご覧ください。

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サプライチェーンマネジメントが注目される背景って?

近年、再び多くの企業でサプライチェーンマネジメントの導入や構築が進んでいるのは、大きく分けて3つの理由を挙げられます。

企業のグローバル化

企業のグローバル化が進んだことにより、調達・生産・物流・販売のネットワークが世界規模で行われています。かかわっている企業は一国に留まっていない状況において、サプライチェーン全体の管理を行い、確実な情報共有が必須となっています。

ビジネスモデルの急速な変化

インターネット通販の普及によって販売と配送が一体化したことや、Uber Eatsや出前館などのフードデリバリーの充実により出前非対応レストランの料理の配達が可能になったことなどの新しいサービスの登場によって、販売と配送が切り離せない時代になっています。このようなビジネスモデルの変化によってサプライチェーンマネジメントによる管理体制の構築が求められています。

労働環境の変化

少子高齢化による人口の減少や労働条件の問題などから、人手不足が深刻化しています。このような状況で、企業では効率的な物流方法が模索されており、サプライチェーンマネジメントによる業務効率化や無駄をなくすことが求められています。

このような背景から、現代ではサプライチェーンマネジメントの導入や構築を進める企業が増えつつあります。

ますます重要視されるサプライチェーンマネジメントの存在

サプライチェーンマネジメントの役割

以上、サプライチェーンマネジメントの役割や必要となった背景、導入方法などを詳しく解説しました。

繰り返しになりますが、サプライチェーンマネジメントが再び注目を集めている理由として、「企業のグローバル化」「ビジネスモデルの急速な変化」「労働環境の変化」の3つが挙げられます。世界的な感染症の流行・国家間の紛争などに伴い、現代では企業のビジネスモデルから個人の働き方に至るまでが大きく変化するケースは決して少なくありません。

こと製造業においても、製造工程や業務フローの見直しを迫られる可能性は高いといえるでしょう。具体的には、材料の仕入れ先が変わる、商品需要が変化するなどが挙げられます。これらの変化に機敏に対応するには、全体を俯瞰的に捉えて改善するサプライチェーンマネジメントが今後も重要となります。サプライチェーンマネジメントを導入すれば、競合他社を抑えて利益の確保につなげることも夢ではありません。

当コラムで紹介した生産スケジューラ「Asprova」は、「お試しで使ってみたい」という方に向けて無料体験版をご提供しています。この他、Asprovaの資料請求なども承っているので、詳しくは以下のお問い合わせページからお申し込みください。

技術革新や予測不能な外的要因に迅速に対応できるよう製造業務においては、より一層生産プロセス全体の改善と生産効率向上が求められています。 データやデジタル技術を活用し、生産リードタイム短縮や在庫・コスト削減などを実現する製造現場におけるDX推進の一つとして、生産スケジューラの導入がカギとなります。 次のページでは、生産スケジューラ導入によって具体的にどのような業務改善が実現したのか導入企業の事例もご紹介しています。ぜひご参考にしてください。 img_banner_aps
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