機能の提供からソリューションへ~ユーザー会 2025~

2025.12.03X3:コンサルタントダイアリー

生産スケジューラ「Asprova」を日々使っている企業、あるいは導入を検討している企業の実務担当者が集まる「Asprovaユーザー会2025」が、11月14日、東京・ミッドタウン八重洲で開かれました。全国各地から21社が参加し、熱気にあふれた会となりました。類似業種が同じテーブルに着く島形式の机配置で、お互いに活用法や生産計画の悩みを話し合いました。

パッケージ化でわかりやすく

アスプローバの田中智宏社長は冒頭、過去を振り返りながら、今後の方針を示しました。「生産計画という難問に対し、私たちは機能を提供するのではなく、課題の解決(ソリューション)を提供します」と切り出しました。

そして最近の開発の柱となっている業種ごとのパッケージ化について述べました。「製造業にはさまざまな問題があります。納期、段取り、リードタイム、在庫などすべての業種に共通する課題もあれば、業種ごとの課題もあります。2022年ごろまで私たちは、すべて従来のAsprova MSで解決しようとしてきました。しかしここ数年、最適化AIであるSolverオプションを用い、課題の一部を分解して解決できるようになりました。Solverには多くの種類があり、それぞれ別の問題を解いていきます。それをパッケージ製品として提供するという取り組みを始めたのです」

パッケージの中身について「業務や職種ごとに最適のSolver+専用のウェブ画面(My Schedule)+Asprova MS という構成です」と説明。「短期で導入でき、長く使うことができます。使わない機能を勉強する必要はありません。わかりやすいデモサイトで体験することができます」と述べました。

さらに従来のAsprovaについても「最近Ver18が公開されました。ユーザーのみなさまから寄せられた“ここが使いにくい”“こうした機能がほしい”といった声にこたえて、改良が進んでいます。私たちに困っていることを教えてください。それが今後の開発方針になります」と結びました。

4種のパッケージ

パッケージ化された製品については、ユーザー会の後段で、社員から「検討、導入、運用が楽になる仕組みです」と紹介されました。現在4種類あり、平準化に焦点を置いた「Auto MPS」、金型管理の効率を高める「Auto Mold」、ライン工程の投入順序を最適化する「Auto Assembly」、それに液体や粉体のタンク繰りを効率化する「Auto Batch Process」です。計画を立てる際の効率化のみならず、多くの制約条件を考慮した最善の計画を導き出すことができます。

このうち初めに開発された「Auto MPS」は、中日程を重視した分野に適します。作業負荷を平準化しながら、在庫管理を最適化し、さらに需要変動に応じた計画で納期を守ります。パッケージにはMy Scheduleがセットされており、使う人の立場に立ったインターフェースが実現しています。ある導入事例では、手動で行っていた業務の7割を任せることができ、必要な時間が3時間から1時間に短縮されたそうです。

会場ではアスプローバの技術者が直接説明するブースが多数設けられ、デモが演じられて高い関心を集めていました。講演が始まる前から参加者が質問に集まり、社員もユーザーの熱意に触れ、意欲をさらに高めていたようでした。「現場が抱える課題は、業種が同じであっても大きく異なっている場合が多く、さまざまな声を拾いながら、要望におこたえできる製品を作っていきます」と開発担当者は話していました。

「現場が抱える課題は、業種が同じであっても大きく異なっている場合が多く、さまざまな声を拾いながら、要望におこたえできる製品を作っていきます」と開発担当者は話していました。

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