倉庫が半分に!岡本製襪×住江織物の在庫削減リアルストーリー
2025.06.18A2:導入事例過剰在庫は保管費・光熱費・保険料を押し上げ、キャッシュを倉庫に眠らせ投資余力を奪います。陳腐化劣化による値引きや廃棄損、スペース圧迫で作業効率と安全性が低下し経営を圧迫します。中国の靴下工場の岡本製襪(せいばつ)有限公司と、住江織物株式会社の実例を基に、生産スケジューリングの活用により、在庫削減を果たした役割と実践手順を解説します。
在庫削減がもたらす5つのメリット
- 余剰在庫を迅速に資金へと転換できるため、キャッシュフローが大幅に改善します。
- 倉庫スペースや冷暖房費、保険料などの保管コストを圧縮でき、経費削減につながります。
- 在庫の陳腐化・劣化・型落ちといった損失リスクが減り、品質面の安全性が高まります。
- 工程間での滞留が少なくなることでリードタイムが短縮し、結果として納期遵守率が向上します。
- 省スペース化によりエネルギー消費とCO₂排出を抑制でき、ESGの観点からも優れた対応となります。
事例で学ぶ成功のカギ
事例① 岡本製襪—原材料の適正在庫で工場面積50%削減
- 課題:40日の長いリードタイムと仕掛・完成品在庫の膨張
- 施策:Asprovaで所要量計算とガントチャートを連動、営業に早期確定を促し過剰手配を防止
- 効果:リードタイムを40日→30日、在庫と工場面積を大幅に縮小 [事例記事]
事例② 住江織物—仕掛在庫45~50%削減
- 課題:多工程・多品種ゆえの現場進捗の不透明さ
- 施策:POP端末で実績を即時収集、ボトルネックを可視化し最適ロットで投入
- 効果:計画立案時間を半減、仕掛在庫を9日分→5日分に圧縮 [事例記事]
生産スケジューラ活用のポイント
1) 余剰生産の削減 : 生産スケジューラは受注や最新の需要予測を即座に計画へ反映し、能力・資材制約内で自動再計算します。その結果「念のため多めに作る」保険が不要となり、完成品・原材料ともに過剰在庫を持たずに済みます。
2) 仕掛在庫の削減 : ガントチャートでボトルネックを可視化し負荷平準化を行うことで工程全体のリードタイムが短縮されます。リードタイムが半分になると、仕掛在庫も半分になります。
3) 原料材料の削減 : 従来はMRPで資材を多めに手配し、その後に詳細スケジュールで調整していました。スケジューラを使えば所要量計算と負荷計画を同一エンジンで計算させるため、生産タイミングに合わせたジャストインタイム調達が可能となり、調達在庫が大幅に縮小します。
4) 安全在庫レベルの最小化 : 設備停止や需要急増など複数シナリオを高速で試算できるので、サービス水準を維持しつつ安全在庫係数を下げられます。結果として原材料・仕掛・製品すべての在庫が体系的に縮減します。
5) 計画と実績のズレの補正 : IoTやPOP端末で取得した進捗をスケジューラへ即時反映し、リスケジュールします。計画と実績のズレに対して生産計画が迅速に追随するため、余剰在庫や滞留在庫が蓄積しにくくなります。
在庫削減を実現する5ステップ
1) 現状の可視化 : ガントチャート・IoT・POP端末で進捗を“秒単位”で捉え、工程別滞留を特定します。
2) データ精度向上 : 品目構成表・リードタイム・歩留りを最新化。MRPやAPSの計算誤差をなくすことが基礎です。
3) ボトルネック対策 : 滞留工程に対し段取り短縮、並列化、設備増強を実施。ボトルネックが移動したら再測定を繰り返します。
4) 需要同期化 : 需要予測の精度を上げ、受注変動をAsprovaでシミュレーション。週次→日次へ計画サイクルを短縮し、段階的にロットを小さくします。
5) PDCAと組織浸透 : 在庫KPI(仕掛日数、回転率)をダッシュボードで共有し、改善→標準化→再評価を月次で回す文化を醸成します。
まとめ
岡本製襪はAsprovaで所要量計算と工程負荷を連動し、原材料在庫と工場面積を半減しました。住江織物も進捗を即時可視化し仕掛在庫を約50%削減しました。生産スケジューラは需給を即時整合しリードタイムを短縮、ボトルネックを解消して安全在庫を最小化します。見える化→データ精度→ボトルネック対策→需要同期→PDCAの五段階で在庫削減と納期遵守を両立し、企業のキャッシュフローを強化します。

コラム編集部

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