生産形態: ディスクリート生産/プロセス生産/プロジェクト生産
2025.09.19A1:生産計画・スケジューリング
目次
生産形態による分類
製造業における生産のやり方は、作る製品の特性によって大きく異なります。ネジやボルトのような小さな部品から、自動車、食品、そして巨大なタンカーまで、それぞれに適した作り方が存在します。この作り方を分類したものが「生産形態」です。
生産形態は、大きく分けて「ディスクリート生産」「プロセス生産」「プロジェクト生産」の3つに分類されます。自社の製品がどれに当てはまるのかを理解することは、生産計画、スケジュールを立案する上で重要です。
ディスクリート生産
ディスクリート生産は、「組立加工型生産」とも呼ばれ、1個2個と数えられる部品を成形加工し、それらを組み立てて一つの製品を完成させる生産形態です。多くの部品を組み合わせて作るため、管理が複雑になる傾向があります。
■製品例
- 自動車: エンジン、タイヤ、シャーシ、内装部品など、数万点もの部品を一つ一つ組み立てて完成させます。
- スマートフォン・パソコン: CPU、メモリ、ディスプレイ、バッテリーといった電子部品を基板に実装し、ケースに組み込んで製品にします。
- 家電製品(テレビ、冷蔵庫など): モーターやコンプレッサー、電子回路、筐体(外側の箱)などを組み立てます。
- 家具: 木材や金属、ネジなどの部品を加工し、組み立てて椅子やテーブルを製作します。
プロセス生産
プロセス生産は、「装置産業型生産」とも呼ばれ、原材料を化学反応、混合、溶解などのプロセスを経て製品を作り出す生産形態です。液体や粉体などを扱うことが多く、生産設備が大規模になりやすい特徴があります。
■製品例
- 化学薬品: 原料を反応タンクに投入し、化学反応によって目的の物質を生産します。
- 食品・飲料: 小麦粉や砂糖、牛乳などの原料をレシピ(配合表)通りに混ぜ合わせ、加熱・冷却・充填といったプロセスを経て、パンやジュースなどを製造します。
- 医薬品: 有効成分となる原薬を処方箋に基づいて調合し、錠剤やカプセル剤、注射剤などを生産します。
- 鉄鋼・金属: 鉄鉱石や原料炭を溶鉱炉で溶かし、不純物を取り除いて鋼(はがね)などの金属材料を製造します。
プロジェクト生産
プロジェクト生産は、「個別受注生産」とも呼ばれ、顧客の特定の要求に合わせて、基本的に一品一様の製品を製作する生産形態です。一つ一つの製品が個別の「プロジェクト」として管理されるのが特徴です。
■製品例
- 船舶・航空機: 顧客である船会社や航空会社の仕様に基づき、長期間をかけて設計・製造されます。同じモデルであっても内装や搭載機器が異なることがほとんどです。
- プラント: 発電方式や生産品目など、目的や立地条件に合わせて完全にオーダーメイドで設計・建設されます。
- 特注の産業機械: 顧客の工場の生産ラインに合わせて、専用の設計で工作機械や搬送装置などを製作します。
- 橋梁・トンネル: 地形や交通量、地域の要件に応じて、一つとして同じものはない構造物を建設します。
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➢ ディスクリート生産: ジョブショップ生産/フローショップ生産/セル生産
➢ プロセス生産: バッチプロセス/連続プロセス
➢ プロジェクト生産: 船舶/プラント/橋梁/大型建築物/産業用機械/特注設備
[生産計画・スケジューリングの教科書の目次]
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