ディスクリート生産: ジョブショップ生産/フローショップ生産/セル生産
2025.09.19A1:生産計画・スケジューリング
目次
ディスクリート生産とは
部品を成形・加工・組立てて、1つ、2つと数えられる製品を生産する生産形態です。
ジョブショップ生産、フローショップ生産、セル生産
ディスクリート生産には、製品の種類や生産量に応じて、ジョブショップ生産、フローショップ生産、セル生産といった代表的な生産方式があります。これら3つの生産方式は、すべてディスクリート生産に分類される点で共通しています。
3つの方式の最も大きな違いは、「製品を作る工程の順序」にあります。例えば、ある製品を作るのに「切断」「曲げ」「穴あけ」という3つの工程が必要だとします。
フローショップ生産では、この工程順が「切断 → 曲げ → 穴あけ」のように固定されています。機械や作業者はその順番に沿って配置され、製品はベルトコンベアに乗せられたかのように、同じ流れで次々と生産されます。大量生産に向いた方式です。
ジョブショップ生産では、製品によって工程の順番が異なってもかまいません。
製品Aは「切断 → 穴あけ → 曲げ」の順
製品Bは「切断 → 曲げ → 穴あけ」の順
というように、製品の仕様に合わせて柔軟に工程を組むことができます。多品種少量生産に向いています。
セル生産は、ジョブショップ生産とフローショップ生産のハイブリッド(良いとこ取り)のような方式です。特定の製品グループを作るために必要な機械設備や作業者を1か所に集め、「生産セル」と呼ばれる小さな生産ラインをいくつも作ります。セル内ではフローショップ生産のように工程が流れるように配置される一方、工場全体としては様々なセルが並行して動くため、ジョブショップ生産のような柔軟性も持ち合わせます。
ジョブショップ生産
ジョブショップ生産は、多品種少量生産に適した生産方式です。機能が同じ機械(例えば、切断機、曲げ機など)を1か所にまとめて配置し、製品はそれぞれの仕様に応じて必要な機械の場所を巡回して加工されていきます。
■製品例
- 自動車の部品
- 航空機の部品
- 産業用機械の特注部品
- 金型
■生産のスケジューリングの課題
どの製品を、いつ、どの機械で、どの順番で加工するのか、という計画が非常に複雑になります。納期遅れを発生させず、かつ、段取り時間を最小限に抑える、という両立が難しい課題を同時に解決する必要があります。
フローショップ生産
フローショップ生産は、少品種大量生産に適した生産方式です。製品の組み立て工程の順序に沿って機械や作業者を一直線に配置し、製品は流れ作業で生産されます。
■製品例
- 自動車の組み立てライン
- 家電製品(テレビ、冷蔵庫など)
- 食品や飲料のボトリング
- 印刷物
■生産のスケジューリングの課題
生産ライン全体のバランスをいかに取るか(ラインバランシング)という点にあります。ラインのある一部分だけ作業が遅れたり、逆に早すぎたりすると、全体の生産効率が落ちてしまいます。また、複数の注文(オーダ)をどの生産ラインに割り振り、どの順番で投入すれば最も効率的になるかを最適化することも重要な課題です。
セル生産
1人または少人数の作業者チームが、部品の組み立てから完成までの一連の工程を担当する生産方式です。U字型やL字型に設備を配置した「セル」と呼ばれる作業スペースで生産活動を行います。
■製品例
- デジタルカメラ
- 携帯電話・スマートフォン
- プリンター
- 多品種の化粧品
■生産のスケジューリングの課題
どの注文(オーダ)をどのセルに割り当てるか、そしてセル内でどの順番に製品を投入していくかを最適化する必要があります。作業者のスキルやセルの能力に応じて効率的に割り振ることで、生産性向上を目指します。
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➢ ジョブショップ生産: プラスチック成形/金属成形加工/バッチ処理…
➢ フローショップ生産: ライン組立/ライン加工
➢ セル生産
[生産計画・スケジューリングの教科書の目次]
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