3つの「分解」でスケジューラを「楽」に (Asprovaユーザー会 2024)

2024.11.29X0:ユーザーインタビュー

 全国各地で日々、生産スケジューラ「Asprova」を使う人たちが集まる「Asprovaユーザー会 2024」が11月、東京駅前のミッドタウン八重洲で開かれました。ユーザー同士、互いの課題を話し合う場となり、アスプローバ社からは、講演とブース説明で多くの新機能が紹介されました。

最適化AI、UI、そして業種別

 アスプローバの田中智宏社長は冒頭、「私たちのミッションは、世界中の工場の生産スケジューリングを楽にすることです。100年先のことまで考えています」と述べました。そして、1994年の創業を原点に、30年たった現在の到達点と、高い目標「北極星」を掲げ、そこに向かって一直線に進む姿を示しました。その目標とは、自律運転ができ、最適な生産計画がいつでも手に入ることなのです。

 田中社長は「100年は遠い先ですが、5年後のビジョンもあります。それは、Asprovaをより楽にすることです。これまで汎用的な生産スケジューラを作ってきました。しかしこれ以上機能を詰め込むのはきつい。これからは問題を分解していきます」と、3つのアプローチを提示しました。

 「1つめはスケジューリングロジック。最適化AIの考え方を利用した『Solver』オプションを2022年に開発し、これまで困難だった問題を解けるようになりました。工程や制約ごとに新たなSolverを開発し、今10種類くらいあります。これをさらに増やす一方、それぞれの性能を上げていきます」

 「2つめはUIです。従来のものはたくさんチャートがあり、難しい点がありました。それを分解した『My Schedule』を今年6月にリリースしました。必要最小限の画面に絞ることができ、計画担当、製造担当、経営層など、それぞれの知りたいことを示します」

 「3つめは、業種別パッケージです。業種に分解することで、導入が短時間で容易になります。第1弾の『Auto MPS』は、自動車部品工場向けのパッケージです。基準生産計画を樹立し、生産の平準化が可能になります。別の業種を対象に、第2弾、第3弾も開発していきます」

求む!ユーザーの緊急課題

 続いて、「楽にするための3つのアプローチ」に沿って、担当の社員が登壇して新機能を説明しました。今年力を入れてきたのが「ペインポイント」の解消です。ユーザー、ビジネスパートナーから使いづらい点を指摘してもらい、スピード感を持って解決していきます。すでにメッセージボックス機能、重複コードの入力禁止機能などを新たに設け、今は、空き時間が足りないときに押し込む機能などを開発しているそうです。

 参加したユーザーは、10のテーブルに分かれて着席しました。さまざまな企業の担当者が同一のテーブルに座る方式で、ディスカッションの時間が長く設けられました。情報交換が活発に行われ、問題解決のヒントが得られたようでした。また要望として、「先頭に立ってくれる人がいないと進まない」「助けてくれる人がほしい」と、先導役、リーダーシップを求める声が多く聞かれました。

 田中社長は「ユーザーと私たち、ユーザー同士、そうしたコミュニティが重要だと考えています。みなさんの望みを聞かせてください。開発し、解決します。Burning Needsという言葉があります。頭に火がついた状態で、すぐに消したい、そんなニーズを聞かせてほしいのです」と話しました。

また今回は新たな試みとして、ユーザーにアスプローバ社員がインタビューする形で、Solverと My Scheduleについて、2件の事例紹介がありました。業種別パッケージの第一弾となる新製品「Asprova Auto MPS」についても発表がありました。それらの内容は、別項で詳しく紹介します。


(了)


技術革新や予測不能な外的要因に迅速に対応できるよう製造業務においては、より一層生産プロセス全体の改善と生産効率向上が求められています。 データやデジタル技術を活用し、生産リードタイム短縮や在庫・コスト削減などを実現する製造現場におけるDX推進の一つとして、生産スケジューラの導入がカギとなります。 次のページでは、生産スケジューラ導入によって具体的にどのような業務改善が実現したのか導入企業の事例もご紹介しています。ぜひご参考にしてください。 img_banner_aps