効率向上の王道ー平準化とは
2022.04.06S1:組立ラインの投入順序を最適化したい身近にある平準化の重要性
今年3月、首都圏で停電危機がありました。宮城県沖の地震で火力発電所が止まり、悪天候で太陽光発電もできず、寒くて電気の使用量が増え、需要が供給を数%上回ったためです。電力会社や政府が節電のお願いを懸命にして、何とか大規模停電は避けられました。ふだん電力会社は、電気をたくさん使ってほしくて、オール電化住宅などを売り込んでいます。一方で、電力使用のピークを抑えることは土下座しても頼みたいくらい大事なのです。
鉄道会社も、たくさんの乗客に乗ってほしいのはやまやまですが、朝のラッシュを分散させようと、あの手この手のPRをしています。
需要のピークに合わせて設備や人員を用意すると、平常時には大きな無駄が生じます。生産工程でもそれがいえます。今回のテーマ「平準化」は、工場で無駄を抑え、効率的な生産ができる道を探ることです。
投入順の平準化で効率向上
わかりやすくイメージできる例として、ベルトコンベアの組み立てラインを考えてみます。決められた期間内に、必要なものを必要なだけ、均一に生産するにはどうすればいいでしょうか。
このためには直感と異なることをしなくてはなりません。たとえば、1カ月の間に、製品Aを500個、製品Bを300個、製品Cを200個作るとしましょう。まずAを全部作ってしまい、次いでBを仕上げ、最後にCを作れば、最も効率的であるように思われます。ところが、Cの担当だけをする人員、あるいはCでしか使わない材料・仕入れ先は、AやBを作っている間はすることがなく、遊んでいる状態になってしまいます。また顧客の需要とも合わないおそれがあります。

これを分割して、たとえばABACABACABという生産順にすれば、無駄が少なくなります。ただしラインを異なった製品に対応させる切り替えが頻繁になるので、手間がかかるでしょう。そして生産する製品が多様であればあるほど、平準化の難度が増していきます。事前に綿密な計画を立てることが求められます。ひとつの工場だけでは効果は限られます。関連する仕入れ先とも密接な連絡をとり、自分の目に見える部分だけでなく、生産工程全体を意識しなくてはならないでしょう。
平準化のメリットは在庫の最小化などにとどまりません。従業員や設備にかかる負荷のピークが小さくなることで、チョコ停と呼ばれるラインストップが減ります。部品の投入量のばらつきが減ることで、原材料の調達リスクも減ります。ムリ、ムダ、ムラをなくすのが平準化です。トヨタ式のジャストインタイム(JIT)生産方式は、平準化の考え方がもとになっているのです。
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コラム編集部

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