ユーザー目線で使いやすさを追求

2024.05.31X1:アスプローバ社員インタビュー

 アスプローバのソフトウェアを開発している新人エンジニア上野智久(うえの・ともひさ)さんに、お仕事の話を聞きました。上野さんは埼玉県出身。東京大学理学系研究科の修士課程で宇宙物理学を研究し、大手通信会社を経て2023年秋に入社しました。大企業との違いについても話してくれました。

顧客が求めるものは?

ー 現在の担当業務について教えてください

 UX(ユーザー・エクスペリエンス)のチームに入っています。Asprovaは歴史の長いソフトウェアで、何百万行もあり、複雑になっています。お客さま目線で、それを使いやすくしていくための仕事です。製品には「ペインポイント」(ユーザーが痛みを感じる点)があり、お客さまから「ここが使いにくい、何とかならないか」と指摘を受けることがあります。そういった声を私たちの方から求め、なるべく早く改善しようとしています。

 最近の成果を挙げると、まず「重なりMAXの途中停止」があります。重なりMAXはAsprova特有の機能で、大変計算が多くなることがあり、「いつまでたっても終わらない、停止ボタンを押しても反応しない」と指摘されました。そこで、押したら途中で止めることができるようにしたのです。停止すれば、どこに原因があったのか突き止めることができ、デバッグも容易になります。

 また「コード重複の排除機能」も付け加えようとしています。Asprovaは他のシステムと連携して動くことも多いのですが、手入力があると時に入力ミスが起きます。オーダ番号が重複していた場合、警告が出て入力できなくなるようにしました。これによって、誤ったデータを他システムに返送するといったトラブルを防ぐことができます。

 さらにガントチャート上に、時刻の区切りを示す罫線を、任意の間隔で表示できるようにしています。これもお客さまからの要望がもとになっています。

 ペインポイントとは別に、中国のクラウド対応もやりました。アマゾンのクラウド、グーグルのクラウドなど、複数のクラウドを使うためには、それぞれ個別対応が必要なのです。私の仕事は中国ベースのアリババ、ファーウェイなどが提供するクラウドに対し、Asprovaを適応させることです。複雑にせず、必要最小限でできるようにしました。

大学院の雰囲気も

ー 業務のうえで心がけていることはありますか

 プログラミングでも費用対効果を考えます。簡単にできて、お客さまに喜んでもらえるのが一番です。そのためにお客さまの要望を数値化して、そのポイントが高く、かつ、すぐにできそうなものに、優先して取り組みます。

 実はこれまで職業としてプログラミングをしたことはなかったのです。趣味では何十万行も書き、ゲームなども作っていたのですが。未経験でも何とかなっているのは、お客さまの要望を引き出すコミュニケーションのスキルが役に立っているからでは、と思います。

ー 前職ではどんなことをしていたのですか

 大手の通信会社に4年ほど勤務していました。開発部門ではあるのですが、実際は管理の仕事です。ベンダーに発注し、予算の管理をして、仕上がりを確認して、といった一連の作業で、もう自分で書いた方が楽なように思いました。また大企業はセキュリティに厳しく、小さく限定された権限しか与えられません。自分で手を動かしたくなり、入社しました。

 アスプローバ社では、生産現場の課題を解決するのが仕事ですが、業務の内容は計算機の知識が生き、むしろ大学院のころに戻ったような雰囲気もあります。学生時代は初期の宇宙で恒星ができる過程を数理的に示すことに取り組んでいました。ビッグバンのシナリオはいくつもあり、まだわかっていないことも多いのです。現在得られる観測データと、初期宇宙の数理的なシミュレーションをつなげるのです。

ー 仕事を離れたところで趣味はありますか

 ゲームの「オセロ」です。3段を持っていて、日本オセロ連盟が主催する「神奈川オープン」という大会で優勝しました。将棋もやったのですが、オセロは将棋に比べパターンが少なく、序盤の定石はある程度決まっていて、アマチュアが取り組みやすい。その中で相手を引っかけたり、あるいは相手の攻めをかわす、そんな作戦を実行するのが面白いですね。自分でオセロのWindowsアプリを作って、公開したこともあります。


(了)


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