プロセス生産:バッチプロセス/連続プロセス

2025.09.19A1:生産計画・スケジューリング

目次

  1. プロセス生産とは
  2. バッチプロセスと連続プロセス
  3. バッチプロセス
  4. 連続プロセス

プロセス生産とは

原材料を化学反応、混合、分離などの工程を経て、中間製品や最終製品を作り出す生産形態のことです。装置産業とも呼ばれ、化学、食品、薬品、製紙、鉄鋼などの業界で広く採用されています。生産計画の最適化には多くの課題があり、近年ではAIを活用した生産スケジューラの導入が進んでいます。

バッチプロセスと連続プロセス

プロセス生産は、大きく「バッチプロセス」と「連続プロセス」の2種類に分けられます。

■類似点

バッチプロセス連続プロセスは、どちらも液体や粉体などの原材料をタンクや配管などの設備を使って処理する点は共通しています。また、生産効率を高めるために、設備の稼働率をいかにして上げるかという点が重要になります。

■相違点

バッチプロセスがレシピに基づいてバッチ単位で一定量ずつ生産するのに対し、連続プロセスは24時間365日、設備を止めずに同じ製品を大量に生産し続けます。

両者の違いをまとめると、以下の表のようになります。

比較項目

バッチプロセス

連続プロセス

生産単位

バッチ

期間(時間、日、週など)

生産方式

多品種少量生産向き

少品種大量生産向き

柔軟性

高い。品目切替が比較的容易。

低い。品目切替が困難または不可能。

製品の均質性

バッチごとにばらつきが生じる可能性あり

高い均質性を保ちやすい

具体例

医薬品、シャンプー、化学品、飲料

石油化学製品、鉄鋼、紙

 

バッチプロセス

バッチプロセスは、多品種少量生産や、レシピが重要な製品の生産に適しています。

■製品例

  • 医薬品: 有効成分の合成や製剤工程など、厳密な品質管理が求められるため、バッチ単位で生産・管理されます。
  • 塗料・インク: 特定の色や機能を持つ製品を顧客の要求に応じて生産します。多品種にわたるため、バッチ生産が中心です。
  • 化粧品: クリームや乳液など、成分の混合や熟成に時間を要する製品を一定量ずつ生産します。

連続プロセス

連続プロセスは、一度生産を開始したら長期間停止することなく、同じ製品を大量に作り続けるのに適しています。

■製品例

  • 石油化学製品(ガソリン、ナフサなど): 原油を連続的に投入し、蒸留塔で温度差を利用して各種製品に分離します。設備の起動・停止に多大なコストと時間がかかるため、連続運転が前提です。
  • 鉄鋼: 高炉で鉄鉱石とコークスを連続的に投入し、溶けた鉄を取り出します。高炉の火を一度消すと再稼働が非常に困難なため、24時間体制で操業を続けます。
  • 製紙: パルプを水に溶かした原料を、巨大な抄紙機(しょうしき)に連続的に流し、乾燥させてロール状の紙を延々と作り続けます。
  • ガラス: 溶融炉で原料を高温で溶かし、溶けたガラスを連続的に引き出して板ガラスなどを成形します。

🔍さらに深掘りしましょう>>>バッチプロセス: 配合/調合/貯蔵/充填…

[生産計画・スケジューリングの教科書の目次]

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タグ : コンタミネーション タンク バッチプロセス プロセス生産 品目切替 多品種少量生産 少品種大量生産 連続プロセス
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