もう失敗しない!MRPとスケジューラで精度100%の原材料調達計画

2025.05.21A0 生産管理

原材料調達計画とは、製品の生産に必要な原材料を「いつ」「どれだけ」手配するかを決める計画です。この計画は、MPS(基準生産計画)で決まった製品の生産数量をもとに、必要な原材料の種類と数量と発注タイミングを導き出すものです。

たとえば、MPSで「来週、製品Aを200個生産する」と決まれば、その製品Aに必要な部品や原材料を今週中に手配する必要があります。こうした段取りを誤ると、部材不足で生産が止まったり、逆に在庫が積み上がったりと、現場に混乱が生じます。

 原材料調達計画の重要性

調達計画の精度が低いと、以下のような問題が発生します。

  • 供給の遅延による生産ストップ
  • 在庫過剰によるコスト増
  • 急な対応に伴う業務の混乱

これらのリスクを未然に防ぐために、正確で柔軟な調達計画が不可欠です。特に、多品種少量生産の現場では、部材の入荷タイミングが命運を握ります。

MRPを活用した調達計画の立て方

MRP(資材所要量計画)は、MPSに基づいて原材料の所要量を算出するシステムです。構成表(BOM)や在庫情報、リードタイムなどをもとに、必要な調達量と時期を計算します。

MRPの流れは、以下の通りです。

  1. MPSを計画:どの製品をいつ、どれだけ作るかを決定します
  2. BOMによる原材料への分解:製品に必要な部材や原材料を洗い出す
  3. 正味所要量の算出:手持ち在庫や発注済みの分を差し引いて正味所要量を算出します
  4. 発注時期の決定:リードタイムを考慮し、発注タイミングを確定します

MRPの課題

MRPは非常に便利な仕組みですが、以下のような問題があります。

  • 固定リードタイムで原料の必要なタイミングを計算するため、結果が不正確
  • 製造工程の遅れや急な注文変動に対応しづらい
  • 部材の納期変更など、現場の細かな動きに追従できない

こうした課題を補うのが、生産スケジューラです。

生産スケジューラ活用による精密な調達計画

生産スケジューラは、製造現場の作業や工程を時間軸で管理するシステムです。設備の空き状況や作業員の負荷、工程ごとの処理能力などを考慮して、生産計画を最適化します。生産スケジューラの出力から調達計画を作成すると、次のようなメリットがあります。

  1. MPSや生産スケジュールが変更されると、原材料の発注量・タイミングが自動的に再計算されます
  2. 計画と実績のズレに応じて、リアルタイムな調達計画の変更が可能になります

これにより、調達の「ズレ」が減り、現場全体のリズムが整いやすくなります。

実務での活用ポイント

MRPもスケジューラも、BOM、在庫、リードタイムなどのデータが正しくなければ機能しません。定期的な見直しとメンテナンスが重要です。調達担当者がスケジューラの操作や情報にアクセスできるようにし、現場の状況をリアルタイムで共有する体制が求められます。

特急対応や仕様変更といった突発イベントへの対応のしかたも、あらかじめルールを決めておく必要があります。

まとめ

原材料調達計画は、生産現場を支える極めて重要な業務です。従来のMRPではなく、生産スケジューラを活用することで、精度と柔軟性を兼ね備えた調達が実現できます。特に、需要の変化が激しく、人手不足が進む現場では、「計画と現場のズレ」を最小限に抑える仕組みが必要です。スケジューラとの連携により、調達業務は“守り”から“攻め”へと進化します。

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タグ : MPS MRP マスターデータ 供給の遅延 原材料調達計画 在庫管理 在庫過剰 所要量 生産スケジューラ 発注タイミング