ループコンベアの難題に挑む~塗装ラインの周回数とハンガー取り替えを最小化

2022.06.23生産スケジューリング , 生産管理 , 生産計画

アスプローバ社では、生産管理の困り事を解決するソリューションセミナーを開催しています。そのうち「塗装ラインの周回数とハンガー取り替えを最小化したい~ループコンベアにおける投入順序最適化[S5]」について、概要と感想を記します。今回のテーマは、塗装工程などで用いられるループコンベアです。ものをつるすハンガーの交換回数を最小化したり、周回数を最小化したりすることは、従来のスケジューラーでは困難でした。新たな機能「Solver」によってそれが可能になりました。

直線でない難しさ

 ループコンベアともオーバーヘッドコンベアともいわれる環状になっているラインについて、効率化の道を探ります。セミナーで念頭に置いているのは、塗装のラインです。サイドミラー、バンパー、事務机、ミシンのボディ、金属部品、板金加工品などが、上からつり下げられて、塗装の各工程を回ります。

 塗装自体の時間は短くても、前工程(洗浄など)や後工程(乾燥など)があり、一周するには2時間くらいかかるのが普通です。コンベアにはフックが多数ついていて、そこに塗装の対象物をつり下げる器具(ハンガー)がぶら下がります。何を塗装するかによって求められるハンガーは異なるので、多品種生産を求められる場合、頻繁に交換しなくてはなりません。

 ハンガーの取り替えには作業者の負荷がかかります。できるだけ少ない方がいいでしょう。また空きフックを最小限にして、生産能率を維持したいところです。うまく生産計画を立てないと、工場全体の中でネックになる工程になってしまい、ループの前で在庫がたまることになりかねません。

ハンガー取り替えが3分の1に

 セミナーでは、実際の工程を模擬して、投入順序を導き出しています。塗色を5色、ハンガー5種、つまり品目は25種で、合計1000個を生産する場合です。従来型のロジックで出力された投入順序によると、ハンガー取り替え回数772回、周回数7.12周でした。8周目に入って少しのところで生産完了です。ここでいう取り替え回数とは、最初のハンガー取り付けは1回、交換は2回、と勘定しています。取り替えがかなり多いな、という印象を受けます。

 さてここで、アスプローバのオプション機能である「Solver」の登場です。いいものが出てくるまで試行錯誤し、計算を繰り返します。10万回ほどの試行(といっても数秒から数十秒です)を経て、得られた投入順によると、取り替え回数は244回、周回数5.69周となりました。取り替え回数が3分の1に減り、大きく負担が減りました。周回数も減りました。これとは別に、周回数の最小化を図ることもできます。1172回の取り替えが必要ですが、5.02周で生産終了することができました。

 Solverは、取り替え回数を重視するか、周回数を重視するか、顧客ごとの専用プログラムとなっています。Solverは、最もよい状態からの乖離を「ペナルティ」として、ペナルティの少ない生産順序を求めていきます。ペナルティを取り替え回数にするか、周回数にするか、両方のバランスにするか、要望に応じて変えられます。

 また計算にはきりがなく、100万回でも1000万回でも無限に計算でき、改善も進みますが、今回の場合10万回くらいの計算で、十分よい結果が出てきたということです。

はまればすごい効果

 アスプローバ社は、顧客本位の導入法をとっています。PoC( Proof of Concept)というアスプローバ社と顧客との共同開発の仕組みです。打ち合わせ、試作、検証を短い期間で繰り返し(アジャイル開発といいます)、その後に製品の提供となります。試作、検証の間は、アスプローバはSolverを無償提供し、仲介する販売パートナーのコンサルタント料だけを支払ってもらうということです。顧客は高いリスクをとらなくてもすむわけです。

 ループコンベアは一般的なラインと異なった特性があり、工場の中でも特殊な生産ラインとみなされています。Solverは、うまくはまると、思いがけないほどの力を発揮します。お試しの価値がありそうですね。

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