中国ではAsprovaが生産スケジューリングの基準~中国支社総経理・徐嘉良に聞く

2023.03.10X1:アスプローバ社員インタビュー

 アスプローバ社の中国支社総経理(責任者)を務める、徐嘉良(じょ・かりょう)さんに、中国製造業と生産計画の話を聞きました。新型コロナを経て、経済再開が進んでいる中国では、人件費の上昇とともに、生産スケジューラへの関心が高まっているそうです。

ー これまでの経歴を教えてください

 私は上海の出身で、北京理工科大学に入学しました。途中で千葉工業大学に交換留学し、そのまま千葉工業大大学院の修士課程に進みました。当時大学ではあまり他になかったプロジェクトマネジメント(PM)を学び、修了後は住友電工で生産管理の業務を担当しました。2007年末、アスプローバ社に転職しました。新たに中国に進出するという話でした。日本製品で新市場を開拓するというチャレンジが魅力的でした。

 中国支社は上海にあります。私は技術営業、マーケティングなどいろいろなことをやりました。今支社は5人の人員で、中国本土全域に加え、香港や台湾も管轄しています。現地ビジネスの拡大で増員も計画しています。中国はとにかく広いので、地元の代理店がお客さまとの接点になっています。

人海戦術からの転換

ー 中国で生産スケジューラは受け入れられましたか

 当初は、スケジューラが必要とは思われていませんでした。2008年にユーザー会を開いた時は、スケジューラとは何か、なぜ必要か、というところから説明しました。当時の中国は人件費が安く、生産計画も人海戦術でやっていました。そこから啓発に努めて、少しずつ理解されてきています。今でも入門セミナーを定期的にやっています。100人規模のユーザー会も毎年開いており、スケジューラの活用を通じてお客さまの交流の場になっています。コロナで中断していましたが、これから再開します。

 一連のセミナーはオンラインと会場、両方式で行います。会場は上海と深圳にあり、華東は上海、華南は深圳という分担ができています。

 立ち上げ当初は日系企業の中国工場が主な対象でしたが、2010年ごろ日系だけでやっていくことに限界を感じ、中国のローカル企業にも力を入れるようになりました。今は8割方が中国の企業です。われわれの製品Asprovaは汎用的なので、実にいろいろな業種にわたっています。電子部品、自動車部品、機械、それに化学のようなプロセス系などもあります。とくにSMT(電子部品をプリント基板に実装する技術)が多いですね。

類似品にご注意

ー 中国独特の問題はありますか

 見た目そっくり、Asprova「のようなもの」が出回っているということです。こうした類似品では、たとえば中国語では使わない「品目」という言葉を使っていたりします。ガントチャートのデザインなどもそっくりです。ところが中身は違います。大量のデータを入れて動かすとメモリを食ってパソコンが動かなくなってしまったりします。

 Asprovaと競争できるものはまだありません。ただ開発は始めていると思います。中国では、Asprovaがスケジューラの基準になっています。顧客はAsprovaでできることが、別のスケジューラでできるかできないか試しています。

 われわれは、中国独自の製品を、代理店と連携して開発しました。Asprovaをフル規格で導入すると、年商1億元(20億円)程度の中小企業にとっては価格が高い。機能を最小限に絞った廉価版を作ったのです。とにかくまず導入してもらおうという「Small Start」方式です。大企業でも特定のラインに入れてみて、使い勝手を試したいというときもあり、そうした需要にもこたえられます

注文の変動に高速対応

ー これからの中国市場はどうなるでしょう

 中国では、先ほどのSMTなど電子機器の工程で、材料や部品が多いのに加え、発注の変更も多いのです。そうした変動に対し、高速なスケジューリングができるAsprovaは、優位性を持っています。利点をアピールしていきたいですね。中国の社会では、日本人だと入りにくいところもありますが、私は中国人なので、そういった点でも役に立てると思います。

 困ることもあります。中国の製造現場はいろいろ大ざっぱだし、値引き要求があったりします。また保守にお金をかけない傾向にあります。買ったらそれっきりで、使用料を払うという考え方になじみが薄いですね。

 大きな課題は、Asprovaのオプション機能である「Solver」をどうするか、です。これからよく考えます。

 そして、本当にこわいのは、中国の他社が、Asprovaのまねでなく、生産スケジューラをゼロから自力開発をするようになった時です。すごいのができる可能性があります。そこはよく注意していきたいと思います。


(了)


技術革新や予測不能な外的要因に迅速に対応できるよう製造業務においては、より一層生産プロセス全体の改善と生産効率向上が求められています。 データやデジタル技術を活用し、生産リードタイム短縮や在庫・コスト削減などを実現する製造現場におけるDX推進の一つとして、生産スケジューラの導入がカギとなります。 次のページでは、生産スケジューラ導入によって具体的にどのような業務改善が実現したのか導入企業の事例もご紹介しています。ぜひご参考にしてください。 img_banner_aps
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