ベンチマーキング

経営指標の比較水準となるベンチマーキング。財務データ、コストデータ、数量、時間などの多くのツールを使い分析する経営手法であるが、サプライチェーンにおいても経営改善の手法として注目されている。


 サプライチェーンマネジメントのベンチマーキングは、その対象が事業そのものであるから、企業間や事業部単位間の比較となる。ベンチマーキングは、経営指標の比較、ビジネスプロセスあるいはプラクティス(手法)の比較である。ベストプラクティスのネタは、社外・社内を問わず、場合によっては業種を問わずあらゆる分野にある。
 サプライチェーンマネジメントの元祖ともいえる、トヨタのジャストインタイムのヒントがアメリカのスーパーマーケットの商品補充方式であったことは、生みの親である大野耐一氏の証言として有名な話である。後工程(客)が棚から持って行った商品数のみを、定期的に店頭の在庫補充方式で倉庫から(前工程から)移す(前工程のオペレーション稼動)というものである。この話は、まさに他業界からのベンチマーキングに成功した例といえる。
 ベンチマーキングは、同業界における類似の業務の中での模倣ではない。したがって、ベンチマーキングは、複雑系のメタファ(比喩)を使うことによって、独創的なアイデアにつながる場合もある。
 サプライチェーンマネジメントの経営指標であるキャッシュ回転率を示すROA(対資産利益率)に差の生じる原因を追究していくことは、同業・異業種にかかわらず、また社内・社外にかかわらず、改善策としてのベストプラクティスを探索するためには最も良い方法であろう。たとえば、ROAに差が生じる原因を在庫充足率、納期遵守率などのサービスレベルや、生産コスト、物流コストの対売上比の格差と関連づけて事業単位で分析する。そのスタンスは改善案の抽出であり、TQC(総合的品質管理)などで利用される度数分布や相関分析(散布図)など七つ道具を使う。
 ベンチマーキングでは財務データ、コストデータなどの金額や、数量、時間、距離、スペースなどの原単位を示す数字のみでなく、比較表、特性要因図(フィッシュボーンダイヤグラム)などの多くのツールで分析すれば、自然と改善策が浮かび上がってくる。発想のための事前の発汗作業がベンチマーキングであり、それは経営分析手法ともいえる。
 アメリカのデミング賞といえるボルドリッジ賞の審査項目に、ベンチマーキングが重要視されていることを考えると、この手法はサプライチェーンマネジメントを中心にしたグローバルな経営改善の手法ともいえる。
 サプライチェーンマネジメントの本質を理解して、事業別の成功要因を抽出するために、山と積まれた錯綜したデータから改善策を抽出する技術がベンチマーキングである。
 コンサルティングスキルもこの分野で鍛えられてこそ、地に足が着いたものになる。

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