リードタイム

パーツが供給されて製品になり納品されるまでの時間をリードタイムという。リードタイムの要素をみて因果関係を把握して時間を短縮することがサプライチェーンの効果を上げる。


 サプライチェーンにおけるリードタイムは、サプライチェーンの入口にパーツが投入されてキャッシュフローとなる製品が顧客に納入されるまでの時間の合計である。メタファ(比喩)としては、ハイキングの行進のスタート地点から到着地点までの合計時間や、交通システムを乗り換えて(サプライチェーンのいくつかの異なるオペレーションを経由して)スタート地点から目的地に到着する時間と同じである。したがって、実際に加工(移動)している時間と、在庫として滞留している(つぎの交通システムを待っている)時間を合計したものである。
 機械のスピード(交通手段としての乗りものの速さ)は、リードタイムを構成するP(プロセスタイム)を短かくするだけであって、リードタイムを短縮する効果は、その一部分だけである。したがって、サプライチェーンマネジメントが対象とする時間は、準備時間(S)、能力待ちまたは乗り換え待ち時間(Q)やバッチ数量待ち、組立相手の部品待ち、またはグループメンバー待ちの時間である。
 これらの異なるオペレーションや異なる交通システム間の同期化を行なうことでこの待ち時間を最小にすること、すなわち仕掛りや製品の在庫を最小にすることがリードタイムの短縮につながる。プランニングするときには直近の実績を使うことが重要であり、途中で計画更新をするときには、現実の状態を反映させて最短なリードタイムになるようにオペレーション可能な意志決定を行なう必要がある。
 実際の加工時間(P)の合計をタッチタイムといい、リードタイムのわずかな部分を構成しているに過ぎない。新鮮な寿司のネタであっても、魚船が網で釣り上げた時点から、消費者の口に入るまでのリードタイムの大部分は、行き先が決まるまでの冷凍保存の時間ではないだろうか。また、回転寿司において皿に乗せられて回っている時間は、口に入れるという消費オペレーションの能力待ちの時間で、Qタイムである。
 リードタイムの構成要素を生産系のみで考えると理解するのはむずかしいが、メタファ(比喩)でモデル化することで理解が容易になる。