連続的改善

一九八〇年代以後の経営改善のためのキーワードの一つ。連続的に進化する経営を、複雑系のパラダイムでモデル化する思想。


 連続的改善は「オン・ゴーイング・インプルーブメント」といい、欧米でも一九八〇年代以後の経営環境の中のキーワードの一つとなっている。一九八六年、英文で出版された今井正明著『KAIZEN』は、一四ヵ国語に訳されて日本の製造業の成功要因として紹介された。一九九三年版のオックスフォード英語辞典にも、「KAIZEN(カイゼン)」が登録され、経営哲学の一つとして経営プラクティスの連続的改善手段と定義されている。
 従来の欧米発の経営学が革新、イノベーションをもたらす方法論に焦点を当てていたのに対し、改善は日常的現場の問題解決や、昨日より今日、今日より明日へよりよくなる行動を積み重ねることが、実は大きな革新につながると説明している。現場の改善や設備の維持管理は、経営(マネジメント)の仕事ではないというそれまでのパラダイムを、今井氏のKAIZENがきっかけとなって日本のTQC、TPM、JITを研究した欧米の識者のパラダイムシフトを生んだと思われる。
 コンストレイントベースのサプライチェーンマネジメントの制約理論(TOC)の副題も、「オン・ゴーイング・インプルーブメント(改善)」であり、「制約となるボトルネックの認識と、ボトルネックとなるオペレーションへの同期化、ボトルネックの能力向上、ボトルネックの移動、新たなボトルネックの発見……」という、この繰り返しは、日常の連続的な改善そのものである。TOCもTQCを意識したネーミングといえないだろうか。
 これらの連続的改善は、サプライチェーンが生き物のように、環境変化や需要変化に適応して変化する必要性を述べている。タイムバケットを設定したバッチ方式の固定的計画は、一定時間区分毎に一回だけ目を開けて運転するようなものである。連続的改善とは、連続的に進化する生命系のように複雑系のパラダイムで経営をモデル化する思想である。
 著者は、日本企業が買収した米国のある製造業の収益改善の仕事をしているときに、米国人から今井氏の『KAIZEN』を紹介されて米国で読んだ。同書に書かれている連続的改善は、サプライチェーンマネジメントを語るときに避けては通れない概念である。

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