サプライチェーンマネジメント(SCM)
企業や組織、部門の壁を越え、一つのビジネスプロセスとして経営資源や情報を共有し、全体最適を目指してプロセスのムダを徹底削減する。
サプライチェーンマネジメント(SCM)のゴールは「メイクマネー」、すなわちキャッシュフロー(資金の流れ)を上げることである。企業を存続させるためには、企業という生き物の血液であるキャッシュの流れを良くすることが、最も重要である。従来のように会計原則上の利益だけでは不十分で、キャッシュフローの上がらない利益を会計上で計上することは、今日のようなデフレ時代には企業経営を危くする。
サプライチェーンマネジメントとは、デマンド(需要)に対して、材料・部品のマテリアル(物量)と設備や人のリソースのキャパシティ(能力)を利用し、制約(ボトルネット)を意識しながら、事業単位全体(サプライチェーン)をシンクロナイゼーション(同期化)させ、材料・部品の供給から販売までの物の流れ、すなわちスループットというキャッシュフローのスピードを上げることである。
サプライチェーンマネジメントの三要素は、デマンド(需要)、マテリアル(物量)、キャパシティ(リソースの能力)である。その目的は、制約に基づいてプロセスのシンクロナイゼーションを図りキャッシュフローのスピードを上げることである。その管理指標は、コストや効率という伝統的な会計上のコンセプトではなく、スループット(物の流れ)、インベントリー(在庫)、エクスペンス(経費)という全体最適を目的(ゴール)とする。
つまり、サプライチェーンマネジメントは、キャッシュフロー経営である。市場と競合相手がグローバルに広がったメガコンペティション(国際的大競争)の時代にあって、企業の生き残りに不可欠な手段である。会計上の利益(ネットプロフィット)では、製品の市場価値が下がっても、経費を資産化するという「飛ばし」と同じ操作が、合法的に行なわれる従来の経営指標に挑戦する考え方である。また、バーチャルコーポレーション(仮想企業)などの戦略的パートナーシップを、グローバルなサプライチェーン上で構築する、理論的基盤を提供するマネジメントツールでもある。