スピード経営

兵法の「速きこと風のごとし…」といわれるように、経営においてもスピードは大きな要素である。流通、製造だけでなく、方針決定においてもスピードが要求される。


 サプライチェーンマネジメントは、物の流れのスピードを上げて、スループット(キャッシュを生む物の流れ)を向上させるのが目的である。すなわち、リードタイムの短縮によって速く物を流すことを目的にしており、スピード経営に貢献するコンセプトである。サプライチェーンのスピードは、ボトルネックの認識とそれに従属したオペレーションの同期化によってアップするが、「スピード経営」とはもっと広義の概念であり、製品企画・開発設計から試作試験を経て、量産立上げなどのビジネスプロセスのリードタイムを短縮することと考えるべきであろう。
 スピード経営のもたらす経営上のメリットは、スピードによって固定費を軽減できることと、先行してマーケットを確保できるという二つがある。サプライチェーンのスピードアップは前者の固定費を軽くすることであるが、スピードの速さはスループットの大きさである。スループットが大きいことは産出量、すなわち時間軸に対する歩留りが高いことを意味する。半導体製造では、クリーンルームの質で歩留りを上げスループットを上げるように、物の流れのスピードを上げることでキャッシュのスループットを上げるのが、サプライチェーンマネジメントである。
 製品企画・開発設計におけるリードタイムの短縮は、コンカレントエンジニアリング(同時進行)をコンセプトとして開発設計段階から生産や販売のサプライチェーンオペレーションを考慮し、設計変更ややり直しを最小にすることである。近年の「スピード経営」のコンセプトは、サプライチェーンマネジメントやコンカレントエンジニアリングなどの情報技術と経営との関連で語られることが多い。
 「速きこと風のごとし…」の風林火山の戦術が経営学でよく使われるように、スピードは戦いを制する大きな要因である。サプライチェーンマネジメントの同期化(シンクロナイゼーション)は、スピードを上げる手段である。ゲームもスピードを競うものが多い。
 なお、キャッシュフローベースの会計システムをスループット会計というが、これはあくまでも企業内部の意志決定の管理会計である。税務上、商法上の税務会計が社会とつながる会計システムであって、スループット会計との関係が正しく連結されて初めてスループット会計は生きる。

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