写真現像ミニラボ

工場を限りなくユーザーサイドに近付けた現像ミニラボは、サプライチェーンの新しいモデルといえるものである。情報技術の進歩により、生産と需要をいかに同期化させるか、その答えがミニラボにありそうだ。


 デマンド(需要)に対するサプライチェーンマネジメントを考える上で、供給システムとしての工場のもつ意味を、歴史を振り返って考えてみる。
 前産業時代は、物を作る職人が主体であり、機械や設備、工具はインテリジェンスをもたない補助具であった。産業が発展した工業化時代は、機械にインテリジェンスはなくても職人の力仕事を引き受けて積極的に動く道具となり、主体は職人からオペレータに役割が移った。そして、現在の機械はインテリジェンスをもち、人間はオペレータという役割からさらに後退し、やや機械のパートナーとしての関係になっている。工場における設備と人間の関係は、このように職人として道具や設備を使うコントロールするものとコントロールされるものの関係から、パートナーとしての関係に変化してきている。
 変化の過程で、製造は職人のクラフトマンシップから大量生産のマスプロ・マスセールの時代となり、多品種多量生産に対処するために、時間短縮を目指したアジャイルマニュファクチャリング(俊敏な製造)やサプライチェーンが製造における課題となっている。つまり、大量の集中生産をサプライ側で固定するビジネスモデルが、今、究極まできているのである。
 したがって、これから先のサプライシステムとしての工場は、デマンドの多様性や個人化に合わせて、集中大規模から分散小規模の方向に進む可能性がある。マイクロブルアリー(地ビール)やマイクロベーカリー(焼きたてパン)、そしてプリクラや写真現像ミニラボのような、デマンド(オーダー)に近いところで生産(サプライ)するシステムが、次世紀のサプライチェーンモデルの中に組込まれるというような工場になるのではないだろうか。
 大型の集中処理のラボから、顧客に近いラボで処理するようになって、大幅にTAT(ターンアラウドタイム)が短縮された。処理が分散することで多品種少量化が進んで、段取替えや準備作業に時間がかかるが、情報技術の進歩により自律性をもったサプライチェーンのリソースが、リードタイムの短縮を可能にするであろう。
 段取替えがコストアップの要因となる理由で大量集中化するという発想から、分散小口化でもコストの上がらない段取替え方式を考えるか、または段取替えが最小となるスケジューリングを自動生成するという情報システムが優先される時代になっている。
 写真現像ミニラボは限りなく工場をユーザーサイドに近付けるサプライチェーンシステムであり、TATを短縮するビジネスモデルである。大量の乗客を移送する列車のダイヤ運行から、個人のオーダーで動くエレベータシステムを地下鉄に応用するようなものだ。

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