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アイコクアルファ株式会社 様

アイコクアルファ株式会社 様

手作業に頼っていた、複雑な工程の計画をSolverオプションで自動化。
頭の中のノウハウをロジック化して、担当者も驚きの効率化を実現。

精密冷間鍛造で高い技術力を持つアイコクアルファ株式会社CF事業部(以下、アイコクアルファ)では、持続可能性がないと判断した生産スケジューラを「Asprova APS」(以下、Asprova)にリプレースしたことで生産計画の工数を40%削減し、計画担当者の負担を大幅に軽減しました。しかし、冷間鍛造で高い精度を出すためには、細かく加工条件を調整する必要があり、Asprova導入後も一部の生産計画は手作業で立てざるを得ませんでした。

 

Asprovaの導入で実現した生産計画立案の工数削減をさらに進めたいと思っていたところ、Solverオプション(以下、Solver)の開発・検証プロジェクトの打診があり、開発に参加されました。Solver PoC(Proof of Concept/開発・検証プロジェクト)の経緯と導入の効果についてアイコクアルファ株式会社 CF事業部 FDCTシニアマネージャー(生産計画・購買) 大井実氏、CF事業部 FDCT FPCG 和田昇氏、CF事業部 FPCG 森下権太氏の3名と、開発を担当されたアスプローバ株式会社(以下、アスプローバ)Asprova開発エンジニア 伊東勇登氏に伺いました。

 

■アイコクアルファ株式会社 本社工場
■住所:愛知県稲沢市祖父江町森上本郷十一、4番地1
■設立:1943年8月
■資本金:12億円
■従業員数:1,040人(2020年8月現在)
■事業内容:精密冷間鍛造、ハンドクレーン、精密切削加工、CAD/CAMシステム開発・販売

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アイコクアルファでは、精密冷間鍛造により等速ジョイント内輪のトラック溝やクラウニング付きサンギヤの歯面などを高い精度で製造しています。

もくじ
  1. 1.精密冷間鍛造について
  2. 2.Solver PoCストーリー
  3. 3.製品在庫の少量化と納期遅れゼロを実現
  4. 4.今後に向けて

 

 

1.精密冷間鍛造について

 

-- 精密冷間鍛造の工程と課題について教えてください。

冷間鍛造とは、材料の金属に熱を加えず、常温のまま圧力を加えて、金属を変形させながら成形する加工方法です。温間鍛造などに比べると常温で加工するので寸法精度が高く、材料を削らないのでムダが出ません。弊社では、工程設計や金型設計、金型製作について長年積み上げた独自のノウハウを活用して精密冷間鍛造を可能にしています。また、切断、焼鈍、ボンデ、冷間鍛造、切削、浸炭焼き入れの工程を一貫して行うことで、トラック溝やギヤ歯面を鍛造肌のままで研磨なしでも使えるような高精度化を実現しています。

 

弊社の主力商品は自動車部品ですが、カーボンニュートラル実現に向けて自動車は電動化しつつあり、より一層の高精度化、高強度化が求められています。そのため、鋼材メーカーと協力して電動化に適した材料の追求、冷間鍛造を極めて1ランク上の精度を追求、精密冷間鍛造を生かす切削技術の確立、高精度な焼き入れ技術の追求など、さまざまな課題が上がっています。



冷間鍛造製品

 

2.Solver PoC ストーリー

 

-- Solver PoCをどのように進めたか教えてください。

Asprovaを導入して生産計画の工数が40%削減できたとはいえ、まだ60%は人手による作業が残っているわけで、さらにシステム化を進めたいと思っていました。工数削減だけではなく、作業をシステム化することで属人化の解消、高齢化への対処、新人教育期間の短縮などが可能になり、組織の弱点を減らせる。そんなことを考えていた矢先にトーテックさんからSolver PoCのお話をいただきました。

 

コロナ禍の影響でロックダウンなどが続き、受注数量の変動が大きくなっていますので、受注の変動に対していかに早く生産を調整できるかが現在の課題です。生産調整をする場合には、段取り時間が長く、時間あたりの加工数が少ないレース(旋削)工程がボトルネックになります。この工程が全体の最初に日程を作成する工程になりますので、ここを効率化して早く計画できるようになれば、後工程の日程作成が楽にできます。

 

高精度で削るために、エアーや油のかけ方などの工夫がレース(旋削)工程には必要で、工具の寿命などちょっとしたことが生産性の低下につながります。Asprova導入後も担当者の経験によって生産計画を立てていましたが、どうしても属人化してしまうので、システムに落とし込みたいと思っていました。

 

Solver PoCに参加したのは、Asprova導入とほぼ同じメンバーです。Asprova導入の際は、旧生産スケジューラをリプレースするというはっきりした目標がありましたが、Solver PoCでは何をどうやるのかをディスカッションしながら進めました。

 

一番苦労したのは、計画担当者の頭の中にあるノウハウ、知識、経験をSolver PoCのエンジニアにわかるように伝えることでした。何度もWebミーティングを繰り返したのですが、どうしても伝えきれない部分があり、いろいろと工夫しました。例えば、問題点の一覧表を作り、そこに現在の画面を貼って、ここがこうなると理想的になるという伝え方もしました。また、トーテックさんが間に入って通訳してくれることもたびたびありました。無理難題というか、解決したい課題をぶつけて理解してもらい、トライアンドエラーで作り上げていきました。

 

image5.jpg   「考えていることを言語化して伝えるのが大変でしたが、頭の中をSolverで再現できました」
(和田氏)

生産計画を担当する和田氏は、Solver PoCの苦労と成果について次のように語っています。

 

「後工程、お客様へ納期遅れゼロを達成するため、条件の微妙な設定が必要です。今までは頭の中で考えて生産計画を立てていたので、何をどうしているのかをアスプローバさんにもわかるように言語化する苦労がありました。今は、ボタン1つで生産計画が立てられますから、もう手作業には戻れません。作業効率が上がり、段取り工数が最小限で済むので、製造現場も楽になったと聞いています」

 

image6.jpg   「社内の要望がうまく伝えられているか不安でしたが、アスプローバさんとトーテックさんがうまく拾い上げてくれました」
(森下氏)

システム担当の森下氏は、社内の要望をまとめてアスプローバに伝え、ディスカッションできたことが開発成功の理由だと話しています。

 

「Asprovaを導入した際にまだ手作業が残っていると感じていたので、Solver PoCにも参加しました。計画担当者の思いがアスプローバさんに伝えられているか不安もありましたが、うまく形にしていただいたと思います。何度もディスカッションと評価を繰り返して、私たちの考えていることが実現できました」

 

3.製品在庫の少量化と納期遅れゼロを実現

 

-- Solverを導入した成果を教えてください。
image7.jpg   「6時間かかっていた生産計画の立案が2時間になりました」
(大井氏)

何度もディスカッションを繰り返して開発したSolverですので、大変よく機能しています。以前は6時間かかっていたレース(旋削)工程の生産計画は、Solverのおかげで2時間で立てられるようになりました。時間をかけて手作業で立てていた計画も今ではボタン1つです。ほとんど修正もありません。計画担当者のやりたかったことがシステム化されているということです。

 

これによって生産調整が柔軟にできるようになったため、受注の変動に追随することが楽にできるようになりました。生産の効率を高めるという点では、大きな進歩です。

 

今回、Solverの対象にしたインナーレースという製品は、弊社が世界の20%のシェアを持っています。輸出では海外に在庫を持っていますが、国内向けは製品の管理コストを抑えるために在庫をほとんど持っていません。その一方で納期遅れはゼロにしなければならないという厳しいビジネスになっています。

 

また、弊社では製造をすべて社内でやるのではなく、一部分を外注さんにお願いしています。弊社としか取引のない外の仕事量が大きく変動しないように毎月ある程度の予算を取って発注しています。以前は、どこにどのくらい発注するかを手作業で決めていました。

 

今回のSolver PoCでは、生産計画立案の効率化と合わせて、納期遅れゼロと外注割り振り機能も実現しています。

 

納期遅れゼロについては、現実の製造ラインには限界があり、イレギュラーな事象が発生すると納期調整をお願いする場合があります。そういった場合に何を考慮し、どうすれば実行可能な生産計画を立案できるかについて、アスプローバさんに実際のサンプルを見てもらった上でSolverに落とし込んでもらい、効率的に作成ができるようになりました。

 

外注割り振りについては、手作業が一切なくなり、外注予算の上限と下限を設定すると、その範囲で自動的に割り振りができるようになりました。

 

ボトルネック工程の生産計画立案を自動化し、さらに納期遅れゼロの日程作成の効率化や外注割り振りの機能も実現でき、強力なツールであることを実感しています。

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アスプローバ 伊東勇登氏のコメント


今回のSolverは、「ヒアリング→要件定義→開発→アイコクアルファ様からフィードバック」の短いサイクルを繰り返すアジャイル型の手法で開発しました。例えば、最初の試作品では「治工具の数を逐一管理する」という要件があり、そのとおり実装したところ、立案された生産計画では治工具の移送にかかる時間が考慮されていないという結果になりました。次の試作品までに治工具の数や移送時間をどう管理・考慮するかをディスカッションし、アイコクアルファ様の思い描く姿に近づいていきました。試作品による生産計画を評価していただき、その結果をヒアリングして、要件定義からやり直し、開発する。次の試作品でも同じサイクルを繰り返しました。ディスカッションは、課題の大きさに応じて1週間に1回から1か月に1回程度の間隔で行っています。開発も大変でしたが、アイコクアルファ様にも粘り強く進めていただき、完成度が上がりました。

 

Asprova単体では段取り効率を考慮しながら納期遅れゼロを実現するのは非常に難しいのですが、Solverには二つを両立するロジックを組み込むことで、うまく解決できました。

image10.jpeg   Solver PoCを担当したアスプローバ株式会社
Asprova開発エンジニア 伊東勇登氏

 

4.今後に向けて

 

-- Solverへの要望や期待があれば、教えてください。

Solverを導入して生産計画を立てる時間が6時間から2時間に削減できました。これをさらに1時間まで削減できるメドも付きつつあり、さらに前後工程の生産計画も早く立てられる見込みです。また、受注変動により早く、細かく対応するために生産計画を更新する頻度を現在より短くしたいと思っています。

 

現在、Solverを適用しているのはレース(旋削)工程だけですが、さらに多くの工程に展開したいと思っています。生産計画のロスを減らすと共に、生産効率を一層上げていきたいので、今後も私たちユーザーの無理難題を聞き入れていただきたいと思います。

 

-- Solverの導入を検討されている方にアドバイスがありましたら、お聞かせください。

計画担当者の頭の中にあるノウハウがSolverで再現できるとは、うれしいサプライズでした。手作業に頼る生産計画で悩んでいたり、Asprovaだけでは実現できないとあきらめている方には、Solverいいよ!と伝えたいですね。

 

* 取材日:2022年7月6日
* 記載の担当部署は、取材時の組織名です。