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岡本製襪(張家港)有限公司 様

岡本製襪(張家港)有限公司 様

日本工場のAsprova導入成功を中国工場でも実現



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【導入以前の問題点】
●リードタイムが40日と長かった
●仕掛品、完成品在庫が多かった
●所要量計算をしていないため、単品の原価計算ができなかった

【導入効果】
●前回の経験もあり、わずか2ヶ月間で一部の稼動が開始できた
●リードタイムを、40日から30日に短縮させた。 (さらに、21日に近づいている)
●ガントチャートが信用できるため、現場に行かなくても、現場の状況を把握できるようになり、また、原料手配が間に合いそうにないと、営業に「早く注文を確定してくれ」と意見を言うようになった
●所要量計算も同時にするため、原価計算ができるようになった。それにより、原材料の手配が正確になって、原材料の在庫も削減できた
●導入のプロセスで、中国人社員との間に信頼関係を築くことができた

岡本製襪(張家港)有限公司 岡本製襪(張家港)有限公司
 ■本社: 岡本株式会社
 ■所在地: 江蘇省張家港市人民西路
 ■設立: 1994年8月
 ■資本金: 50,000万円
 ■授業員数: 346人
 ■事業内容: 各種レッグウェアの製造
 

■導入決定の理由
●日本の工場で既に導入経験があったため、中国でもこれをやらない手はない
●実務に適していて、スケジューリング業務を専門知識がなくてもルーチンワーク化できる
●生産納期の変更に対応しやすい
岡本株式会社様は靴下製造メーカーである。日本に本社と工場、中国張家港(上海から北西約100km)に生産子会社がある。
岡本株式会社様では約10年前、岡本社長から、日本工場の製造リードタイムを30日から14日に短縮するよう指示があった。だれもが、「不可能だ」と思う中、当時責任者であった丸山氏(現在、中国工場社長)は、リードタイム短縮のための方策を探しまわった。スケジューリング、所要量計算について、ある生産管理パッケージを検討していたが、望んでいる結果が得られず、その生産管理パッケージメーカーの社長に相談したところAsprovaを紹介された。

Asprovaを評価したところ、要件が満たされることが確認できたため導入を決定した。
靴下は季節変動があるため、マスタ整備には1年の期間が必要であった。さらに、そのマスタの精度を確認するために、もう1年のテスト期間が必要であった。2年間の改善活動の結果、リードタイムを14日まで短縮させた。副次効果として、工場内の滞留在庫は減り、縦90メートル・横50メールとの工場の必要スペースは半分になった。

2002年10月、丸山氏は中国生産子会社の社長として中国に赴任した。赴任後、従業員の結婚式には必ず出席、子供が誕生したときのお披露目解には必ず出席するなど、中国人社員との間で人としての信頼関係の確立を行った。現場作業者のレベルアップと、自主的継続的改善活動が、会社の最終損益に大きな影響を与えるという経営を中国で実践した。
赴任当時は中国工場での製造リードタイムは40日であった。日本では納期が厳しい製品を生産し、中国では比較的納期に余裕がある製品を生産していたのである。丸山社長は、中国工場においても将来的にはリードタイム短縮は必須であると判断。中国人社員との信頼関係の構築、レベルアップがうまく行き始めると、次の目標をリードタイム短縮に設定し、中国人社員6名を中心としたAsprova導入プロジェクト「ASP Project」をスタートさせた。システムで先手を打ち将来のための余力を残すことが狙いである。 岡本製襪(張家港)有限公司
工程管理科主管 蔡氏
2004年5月からAsprovaの無料体験版にて教育、評価を開始した。日本からは、Asprovaの導入経験者である尾井氏(当時、製造技術部)が3回現地に訪れて指導にあたり、Asprovaを用いて、たとえば、機械を2台にするとリードタイムが2分の1になるといった数々の実習を行った。さらに丸山社長は、現地従業員を日本に派遣、Asprovaの実際の運用現場を見学させ、リードタイムが現実に2分の1以下になることを体感させた。リードタイム短縮の意義を中国人社員が自ずから理解するように仕向けた。

2004年8月、中国の販売パートナーであるISI-Dentsu of Asia, Ltd.社(中国語名:電通国際信息服務亜州有限公司、略称:ISIDアジア)からAsprovaを購入した。過去の経験から、「全品目できてから稼動開始ではいつになるかわからない、一部の品目でも稼動させ、使い始めることが重要」との判断から、比較的オーダが少なくライン負荷が低い「リブ商品」と呼ばれる製品のスケジュールに絞込み、わずか2ヶ月後の2004年10月実稼動を開始に成功した。

丸山社長は導入成功のポイントを次のように語った。「Asprovaを周りの人々に信用してもらうこと。そして、もし作業指示に間違いがあれば、どこが間違っているか教えてもらい、すぐにマスタをチェックし、修正することを繰り返す。」その結果、「気がついたら年末ごろにはすべてのマスタが完成してたよ。社員全員に『これは早く完成させねば』という気持ちが自然発生的に生まれたみたいだね。」

導入から8ヶ月目の2005年3月では、40日あった製造リードタイムが1ヶ月まで短縮し、今では、3週間にまで近づいている。
今では、社員全員がAsprovaのガントチャートを信用し、画面を見るだけで現場の状況を把握できるようになった。もし、ガントチャートを見て先々の負荷が低くなると、製造現場の現地従業員が営業に「はやく注文を確定してくれ」と要求するようになった。原料の手配が間に合わない状態であることを、ガントチャートから認識し先手を打つようになったのである。これまでにはありえないことである。

丸山社長は言う「環境変化についていけるような柔軟性、現状を正確に分析し、鍛錬し、進化し続ける体制が必要。それには人間の信頼関係に基づいた絶え間ない改善活動が主体であるが、それを支える優れたツールが必要です。」 丸山社長にとって、10年前に出会ったAsprovaがそのツールであり、それは海を越えて、今、中国人と日本人の信頼関係の上に、新しい成果を生み出そうとしている。

最後に「靴下はもうかりますよ」と語った。昭和50年代、日本国内の繊維業は仕事がなくなり壊滅的な状態になった。実はそのころ、私(高橋)の父は静岡県浜松市で営んでいた織物工場を廃業した。このような環境下でも勝ち残ることができるのだ、ということを目の前で見させられた思いである。
■導入頂いたお客様

岡本製襪(張家港)有限公司
写真左から、
ISIDアジア 宮本氏
品質保証室主管 耳火氏
総経理 丸山氏
工程管理科主管 蔡氏
管理部長  海徳氏
ISIDアジア 熊氏