プランニングサイクルタイム

狙いを定める時間のことで、ここで時間がかかってしまえば狙いに適中しない。そこで、プランニングサイクルタイムをいかに短かくするかが、サプライチェーンでは重要になる。


 リードタイムが、実際の物の流れや加工時間をベースにしているのに対して、プランニングサイクルタイムは「プランを作成するためのリードタイム」である。一度作ったプランは状況が変化すると作り直し、すなわち計画更新が必要になる。リードタイムを短縮しスループットを上げるサプライチェーンプランニングのためには、そのベースとなる現実の状況が大きく変わらないうちにプランを作成し、そのプランに従って実行していかなくてはならない。プラン作成に時間がかかると、実行のためのベースになる現実が変化することになり、そのプランの正当性がなくなってしまう。したがって、月次計画より週次計画の方が、また、週次計画より日次計画の方が、現実を反映したプランになる。さらにいえば、プランニングと実行が同時並行で行なえることが理想的である。
 サプライチェーンマネジメントの原型ともいえるジャストインタイムは、月次や週次の大きなプランニングサイクルタイムで計画されたものが、現場レベルでは自律的にオペレーションされている。自律的なオペレーションとは、プランニングと実行が同時並行に行なわれる連続的行為と定義することもできる。月次計画のようなプランニングサイクルの長い計画が、中枢神経による大脳の計画であるとすれば、現場レベルでの計画と実行は、自律神経によるプランニングと実行といえるであろう。
 プランニングサイクルタイムとは、実行すべきターゲット(目標)を実施するために時間軸に対してアクション(行動)を定義する時間である。別の表現をすれば、「狙いを定める時間」である。狙いを定めるのに時間がかかってしまえば獲物は動いてしまって、実行のスピードがいくら速くても(リードタイムは短かくても)、獲物に適中しない。つまり、プランニングサイクルタイムが短かいほど連続的計画が可能となり、自律分散のジャストインタイムに近付くことができる。そして、それはサプライチェーンオペレーションの同期化を促し、スループットを上げキャッシュフローのスピードを上げることになるのである。
 「狙いを定める時間」とは、計画を作成する時間のことである。実際、狙いを定めるために、データを集め検証し、システムに入力し、長い計算時間を要して計画ができても状況が変化してしまう。したがって、実行に移るリードタイムの短縮のためには、状況変化に応じてデマンドとサプライがシンクロナイズするプランニングが、即時的にリアルタイムにできるようにしなければならない。SCMの情報システムの有効性は、まさにそこにある。
 ところで、ドライバーやパイロットは計画(方向設定)と実行を同時に連続的に行なっている。