欠品せずに在庫を最小化するスケジューリング~Solverが43,804個の欠品を0に

2022.06.16S4:欠品せずに在庫を最小化したい

アスプローバ社では、生産管理の困り事を解決するソリューションセミナーを開催しています。そのうち「欠品せずに在庫を最小化するスケジューリング~[S4]」について、概要と感想を記します。受注の変動に素早い対応が求められる昨今、欠品を避けながら効率的に生産し、しかも在庫を最小限に抑えるのは難題です。アスプローバのオプション機能である「Solver」は、人が数時間かけて作るのと同等以上の計画を、数秒から数十秒で作り上げることができます。

変動に対応できなかったら倒産だ!

 今回のセミナー、アニメーションは、未来製作所が舞台です。次世代バッテリーのメーカーです。仕事に対する厳しさで定評のある発注元の高橋さんは、未来製作所に、きつい注文を突きつけます。受注の変動に即応することです。「サプライチェーンの即応性が求められている。確定期間を2週間から1週間に変更する。3か月の猶予を与えよう。それで対応できなかったら、他のサプライヤにしようかな」

 確定期間とは注文の品目、数量、納期が確定して変動しない期間です。それが短くなると、材料の調達や生産準備を見込みで早々に始め、在庫を余分に持たなくてはならないでしょう。注文の変動に即応するには、それしかなさそうです。欠品は避けなくてはなりません。社長の松下さんと、生産管理部長の川上さんは頭を抱えています。「無理だ。生産管理のエクセルが複雑すぎる。これでは倒産だ」。未来製作所の人たちの悩みが痛いほど伝わってきます。

 在庫を持ちすぎると経営を圧迫します。また段取り(生産設備の交換)を多くすると、製造品目の多品種化は高まりますが、生産効率は下がってしまいます。ぎりぎりの線で、生産計画を立てる必要があります。標準の生産スケジューラーでは、解決が難しい問題です。ただ未来製作所もバカではありません。すでにかなり効率のよい生産順で製造しています。乾いたぞうきんを絞るように、さらによいものができるでしょうか。

4万個の欠品がゼロに

 アスプローバ社のコンサルタントとプログラマーがここで登場します。生産計画を見ると、改善の余地があるようです。まとめて同じ品目を生産しているため、在庫が多くなりがちであったり、まれに欠品が発生したりしています。

プログラマーの伊東さんが実例をもとに説明します。受注順で生産していくと、5ヶ月の間に、43804個の欠品が生じ、230回の段取りが必要でした。これではとても使い物になりません。それを、アスプローバのオプション機能である「Solver」が、強力なコンピュータの計算能力により、反復改善していきます。それによって、欠品はどんどん少なくなります。20万回の試行を経たところで、欠品ゼロ、段取り45回という投入順序を導き出すことができました。

 驚くべきことに、Solverは、数10万回から100万回の試行を、わずか数秒から数10秒の間にやってしまうのです。これには高橋さんも「ボタンを押すだけで、できるのか」とびっくりしていました

 さらに在庫を最小限にする機能もあります。生産品目をまとめすぎたり、早く作りすぎたりすると、在庫が増えてしまいます。「Solver」は、この問題に対しても、試行の繰り返しによって、適切な生産ロットサイズを導き出します。

顧客本位の共同開発

 アスプローバ社は、顧客本位の導入法をとっています。Solverはオーダーメイドの機能で、アスプローバ社と顧客によるPoC( Proof of Concept)という共同開発の仕組みです。打ち合わせ、試作、検証を短い期間で繰り返し(アジャイル開発といいます)、その後に製品の提供となります。アジャイル開発はアスプローバ社が無償で行うので、仲介する販売パートナーのコンサルタント料だけを支払ってもらうということです。顧客は高いリスクをとらなくてもすむわけです。

 未来製作所はこうしてピンチを切り抜けることができました。コンピュータとソフトウエアの力を巧みに使うことはビジネスの世界では必須。そしてできる限り最新の機能を活用したいですね。

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技術革新や予測不能な外的要因に迅速に対応できるよう製造業務においては、より一層生産プロセス全体の改善と生産効率向上が求められています。 データやデジタル技術を活用し、生産リードタイム短縮や在庫・コスト削減などを実現する製造現場におけるDX推進の一つとして、生産スケジューラの導入がカギとなります。 次のページでは、生産スケジューラ導入によって具体的にどのような業務改善が実現したのか導入企業の事例もご紹介しています。ぜひご参考にしてください。 img_banner_aps
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