生産管理の基本~BOMとは~

2020.12.02A0 生産管理

生産管理の基本

製造業の生産管理において欠かせないものである「BOM」。

BOMとは何か、またどんな役割を担っているのか。

BOMの種類と併せてご紹介します。

 

BOMとはいったい何か、その役割は?

BOMとは

BOMとは、「Bill of Materials」の略称です。

日本語では「部品表」、「部品構成表」のことを言います。

主に製造業の現場で、ユニットや部品を管理するために使われています。

必要な部品の数など製造に関しての情報を記してあるため、重要な図表なのです。

一つの製品を作るために必要な部品を一覧にして、製品の製造に関わる重要な内容を端的に示してあります。

それぞれの部品が一体何に使われるかと言う情報「PS(Parts Structure )」と、品目情報である「PN(Parts Number)」の2つが、BOMには記載されています。

必要とする情報は部門によって異なります。

そのため、BOMの書き方や種類も部門によって異なるのが一般的です。

製造に必要なBOMは設計部門で作られ生産部門へと引き渡されます。

生産部門では、BOMを生産管理に必要な形に整えた上でスケジュールに落とし込んでいきます。

また、部品調達をする購買部門でも、BOMは必要となります。

業務や資材を効率的に管理するには、BOMの種類と種類ごとの目的の違いをきちんと理解しておきましょう。

 

BOMの種類~2つの分類方法

BOMの種類

BOMにはいくつかの種類がありますが、その種類自体も2つの分類に分かれています。

分類ごとに、BOMの種類を見ていきましょう。

 

BOMの種類~管理方法~

BOMには2種類の管理方法があります。

サマリー型とストラクチャー型。

それぞれについて、見ていきましょう。

 

サマリー型

一つ一つの製品ごとに並列に必要な部品を記入していく方法が「サマリー型」です。

部品の追加や仕様変更があった場合の対応も容易である点が特徴です。

設計では、E-BOM(後述します)を使用しますが、E-BOMは主にサマリー型で作られています。

 

ストラクチャー型

部品を階層ごとに記入していく方法のことを、「ストラクチャー型」と言います。

ストラクチャー型を用いることで、製品が完成するまでの流れをわかりやすくすることが可能になります。

ストラクチャー型は、リードタイムや予定工数の計算をするのに適しています。

たとえば、M-BOM(後述します)では、まずサマリー型でBOMを作りその後ストラクチャー型に加工して使用しています。

 

BOMの種類~使用部門~

管理方法の説明で、「E-BOM」や「M-BOM」の名前が出てきました。

これらは、使用部門によって異なるBOMの種類のことです。

「E-BOM」、「M-BOM」などのBOMの種類について、ご説明します。

 

E-BOM

「Engineering=設計」で使用するBOMのことを、E-BOMと言います。

製品を設計していくごとに、どんな部品が必要なのかが決まっていきます。

そのため、E-BOMの記入は設計図情報と併せて行われることになります。

また、E-BOMには、製造に必要となる技術情報や部品ごとの使用も記入していきます。

 

M-BOM

「Manufacturing=製造」で使用するBOMが、M-BOMです。

工程表や部品リストとともに管理し、工程の進捗管理やスケジューリングなどに使用します。

設計で使用するE-BOMは、機能面を中心にして部品リストを作成しています。

そのままの形では生産部門では使いにくいため、設計部門から受け取ったE-BOMをM-BOMに加工した後に使用するのです。

 

S-BOM

「Sell=販売」で使用するBOMのことを、S-BOMと言います。

S-BOMは、企業によっては別途作成せずM-BOMをそのまま使っているというケースも少なくありません。

 

サービスBOM

サービスBOMは、様々な名称で呼ばれます。

メンテBOM・保守BOMと呼ばれることも多いです。

アフターサービスの際に使用するBOMで、購入した顧客ごとに個別に管理をしてメンテナンスの履歴を記入したり次のメンテナンスのアナウンスに利用したりします。

その他、メンテナンスの際に必要な部品の管理や発注管理も、サービスBOMで行います。

※サービスBOMのことを、S-BOMと呼ぶ場合もあるため、注意しましょう。

 

購買BOM

部品を調達する際には、購買BOMを使用します。

価格や発注の単位、仕入れ先情報、代替品に関する情報などを、購買BOMでは、管理します。

購買BOMは専用で作らないことも多く、その場合はM-BOMに購買に必要な情報を付け加えて使用します。

 

おわりに

BOMの役割やその種類についてご説明しました。

それぞれの種類と特徴を知り、より効率的な生産管理が実現できるようにしていきましょう。

生産スケジューラにおいてもBOMは必要不可欠な情報です。

品目構成や候補設備、設備能力などの基礎情報に加え、工程間の接続方法や重なり時間、設備の有効条件などを定義するための重要なマスタとなります。

 

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