生産スケジューラは「欠品」を無くす在庫管理そのもの

2022.04.21A1:生産計画・スケジューリング

「コンビニ」は「トヨタの生産方式」と同様の概念で、「ジャスト・イン・タイム」を実践し、社会の無駄な在庫を大幅に削減しています。スペースのない日本社会の生活ではジャストフィットです。そうです、社会システムを「在庫管理」で捉えると、よく理解できるのです。

生産管理は大きく全体から見て在庫管理システムであり、材料購入・販売現場はもちろん、生産工程のどこに焦点を当てても、在庫管理システムそのものです。最大に大きく見て、MR(マーケットリサーチ)で想定される販売予定数量を「有効数(引き当てされていない在庫数と見るのが通常)」として見ると、企業は巨大な倉庫です。

生産工程に焦点を絞ってみると、生産工場内にある全てが在庫管理であると言えます。生産管理はもちろん、生産技術、工程管理も全ては在庫管理で包括することが出来ます。在庫量を極限し、ライン停止を招く「欠品」を無くし、生産効率を最大限に効率化することを目指して、「生産スケジューラ」が使われます。

「生産スケジューラ」の目指す基礎数字は、「販売予定数」です。つまり「市場のニーズ」を目指すのであり、製造業の全資金は、この「市場のニーズ」に「引き当てられている(予定されている)」ことが究極です。

【「欠品」にも等しい「過剰在庫」の大失敗の事例】

ある建設車両メーカーの50年ほど昔の大失敗事例です。50年ほど昔は、現在の情報管理に比較して、ネット通信もなく、事務処理においても手作業が多く情報整理が遅れていました。そこに不況が来て製品の販売数が減り始めたのですが、その割に完成車在庫が増えないので、工場責任者は安心していました。一方、販売店サイドでは日増しに在庫が増え、ついに工場への減産要求が厳しくなってきた時、工場従業員が総務部に苦情を上げてきました。

「クラブ活動で、グラウンドを使用できないから何とかしてくれ」と言うのです。総務部員と工場長がグラウンドの実情を見に行くと、なんと完成車在庫で埋め尽くされているのです。そこで在庫管理の帳簿を見ると、「販売店在庫」となっていました。

工場側では販売店に在庫を押し付けており、帳簿上は在庫を少なくしていたのですが、押し付けられた販売店側はスペースがないので「工場預け」としていたのです。つまり、大失敗の「過剰在庫」が判明したのです。在庫管理の不首尾で多大な作り過ぎを起こし、倒産の危機に直面しました。
この事例から分かるように、在庫管理は帳簿処理とかデータ管理ではないのです。「在庫を管理」する上で重要なことは、「経営者たるもの現場に立て」の格言です。

【効率化の技術は「工程結合」】

生産現場の「セル生産方式(通称:屋台)」は工程結合であり、結合された工程間の中間在庫がなくなっています。よく考えてみれば、材料と加工工程が離れているなどはムダな運搬が生じるだけです。二重に置き場所が必要になるだけの組み立てラインと部品製造工程が離れていることもムダなことです。 生産工程の結合で、中間在庫や置き場所を無くし、リードタイムを短くすることが普通と見るべきでしょう。

「工程結合」が、生産管理・生産技術では切り札なのです。工程間在庫を仮想の倉庫内と見立てれば、過不足ない「ジャスト・イン・タイム」を「生産スケジューラ」が実現します。
つまり、生産工程の「過剰在庫」を無くし、ライン全体を止めてしまう「欠品」を起こさないための工程管理者の武器が「生産スケジューラ」と言えます。

  • 在庫の詳細情報はナレッジセンターにてご覧いただけます。(会員登録が必要です)

    もっと詳しく見る

技術革新や予測不能な外的要因に迅速に対応できるよう製造業務においては、より一層生産プロセス全体の改善と生産効率向上が求められています。 データやデジタル技術を活用し、生産リードタイム短縮や在庫・コスト削減などを実現する製造現場におけるDX推進の一つとして、生産スケジューラの導入がカギとなります。 次のページでは、生産スケジューラ導入によって具体的にどのような業務改善が実現したのか導入企業の事例もご紹介しています。ぜひご参考にしてください。 img_banner_aps
タグ : 在庫