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株式会社ミクニ 菊川工場 様

株式会社ミクニ 菊川工場 様

製造リードタイムは、11日から8日に短縮した、
鋳造工程を加工工程に同期化させることにより、鋳造品の仕掛在庫は33%削減した



株式会社ミクニは、燃料噴射システムコンポーネントを中心に製造し、二輪車・自動車メーカー向けに供給している。国内に6つの生産拠点、中国、東南アジアを中心に海外に12の製造拠点を持つ。近年、小型二輪車向けの超低消費電力型電子制御燃料噴射装置の開発に世界で始めて成功したことでもわかるとおり、高度なテクノロジーを持つ独立系自動車部品メーカーである。

株式会社ミクニ 菊川工場 株式会社ミクニ
 ■住所: 静岡県菊川市半済2828
 ■設立: 1948年10月1日
 ■資本金: 22億1,530万円

■導入の経緯

1984年、旧基幹システムが導入されてから13年が経過したため、各種の問題点もあり、それを改善するために『生産システム研究会』が発足された。6種のスケジューリングソフト、生産管理ソフトの比較検討、デモ、他社の見学会を実施し、最終的にASPROVAの導入を決定した。
 決定理由としては、
  ①スケジュールの優先順位付けができる。
  ②ガントチャート上で作業(ジョブ)の移動が簡単にできる。
  ③人間が移動した作業を固定してリスケジュールできる。
  ④多段階工程のスケジュールを一気にできる。
特に、④に関して、「従来は工程ごとに部分最適を目指すスケジュールが行われていた。それに比べて、ASPROVAでは多段階工程のスケジュールを一気にできる。これにより、全体最適を狙える」(山岸副センター長)ことが重要であると判断した。
■導入プロジェクトの概要

まずは、BS型キャブレターへASPROVAを適用し、その後、他の製品へ横展開することにした。BS型キャブレターの工程は、大きく分けると鋳造、加工、組立ての3工程である。既に、組立工程に関しては計画システムが確立していたが、加工工程のスケジュールは現場まかせであった。組立てに必要な部品の加工が間に合うかどうか十分な確証がないまま、加工が行われるため、加工後の在庫が過剰にあった。さらに、その前工程である鋳造のスケジュールはより不明確になるため、鋳造後の在庫も倉庫いっぱいになっていた。このような状況を改善するために、当時まだシステム化されていない加工工程のスケジュールをシステム化すれば効果が大きいと判断し、加工工程(5~6工程)にASPROVAを適用した。加工工程の負荷のチェックや、組立工程への同期化のチェックを可能にすることにより、加工後の在庫を削減する。さらに、加工工程のスケジュール結果から鋳造の内示オーダを鋳造現場に送ることにより、鋳造後の在庫を削減すること狙った。
■導入時、苦心した点・工夫した点

スケジューリングの計画パラメータの設定に苦心した。例えば、7月5日に5台、7月6日に100台というオーダが来たら、7月6日に105台製造する。また、逆に7月5日に100台、7月6日に5台というオーダが来たら、7月5日に105台製造する。というスケジュールを作りたかった。このようなスケジュールをASPROVAの計画パラメータ設定を調整して実現しようとしたが、なかなかうまくいかなかった。このため、計画パラメータ設定での解決はあきらめ、外部プログラムでオーダのまとめを行ってからスケジュールすることで解決した。まとめ過ぎると納期遅れが発生する。そのため、細かい判断は人間系で行った。([アスプローバ社のコメント] 現状のAsprova2003では、納期遅れを起こさないように、作業の並び順を制御する最適化ロジックオプションがあります。)
■運用手順

まず、メーカーから3ヶ月間または5ヶ間 (メーカーにより期間は異なる)の内示オーダが、旬ごとに更新されて来る。内示オーダを元にMRPシステムが加工工程の製造オーダを作成し、その製造オーダを元に、ASPROVAでスケジュールする。その結果から、
 ①加工工程の負荷チェック
 ②加工終了日と、組立て開始日を照合して、加工が間に合ってるかどうかをチェック
 ③鋳造の製造オーダを作成し、鋳造現場に伝達
を行う。
確定オーダは1ヶ月前に来る。その後も変更はあるが、どんな変更でも、顧客の指定納期に間に合わせることが大前提である。確定オーダを元にMRPシステムが加工の日程を出力し、それに合わせて加工が行われる。現状では、ASPROVAから作業指示は出していない。

季節変動要因としては、二輪車は春に新機種発売されるため、冬場が繁忙期になる。営業からの年間販売予想、前年度実績の数字を考慮し、先行加工を行う。基幹システムで先行手配のための仮受注手配の入力をおこない、ASPROVAにデータ受け渡しスケジュールを行い、加工能力をチェックする。
株式会社ミクニ 菊川工場
■導入効果

以前は、各製造現場の管理者が組立計画をもとに加工日程を作成していたが、ASPROVAを導入することにより、製造現場の工数削減ができた。
 BS型キャブレターの製造リードタイムは、11日から8日に短縮した。
 以前は、受注が来ても、加工が間に合うかどうか検証する手段がなかったが、ASPROVAのスケジュール結果により検証できるようになった。
 鋳造工程を加工工程に同期化させることにより、鋳造品の仕掛在庫は33%削減した。実際、訪問当日、倉庫内の棚は半分ぐらいが空いた状態であった。加工現場では、作りすぎや、隠し在庫が減った。財務指標におけるたな卸し金額は38.8%減少した。 (もちろん、これは新システムの効果だけではなく、改善活動全体の効果である)

2005年2月には、電子制御燃料噴射システムに関しても、次のASPROVAを導入したる。さらに、今後は、他の製品にも横展開していきたい。
■導入いただいたお客様
株式会社ミクニ 菊川工場 左から
 生産管理グループ第一チーム
 リーダー 赤堀 守生様、松浦 豪様、勝又 剛弘様
 情報システムセンター 杉山 芳徳様
データ
バージョン  ASPROVA Ver7.0
完成品目数  860
発注品目数 455 (鋳造品)
資源能力レコード数 5854
計画周期 月3回(旬計画)
計画確定期間 10日
ロット数 900~1500
計画期間内のロット数 300~550
発注件数 200~480