IE/OR

生産効率を向上させる考え方のIEは、今日の大量生産を成功させる原動力である。ORは、統計数字や線型計画法などで最適化を求める手法で、ともにサプライチェーンの流れにある。


 IE(インダストリアルエンジニアリング)は、テーラーから始まった生産効率を向上させる科学的な取組みの中で、生産効率を向上させる初めて体系化された考え方である。米国は南北戦争において、急拡大する武器や軍需品用部品の標準化を進め、低コスト化、短リードタイムを実現し部品の大量生産に成功したが、その原動力となった考え方がIEである。それは、ヘンリーフォードによってT型フォードにつながり、今日の自動車産業発展の原点となった。
 現在の経営学や経営コンサルティングの方法論の基礎はIEから始まり、それが第一次世界大戦、第二次世界大戦を経て、重工業としての軍需産業、近代工業社会を生み出した。IEは、製品毎の固有の製造技術や製品技術をまとめる技術、または経営資源を同期化させる技術ということもできる。これに情報技術(IT)が多くの産業で利用可能になると、情報と通信が一体化してCALSやBPR、ECR、QRなどサプライチェーンマネジメントへの流れにつながってくる。
 OR(オペレーションズリサーチ)は、文字通り軍事用語の作戦研究からスタートしており、統計数学やLP(線型計画法)、DP(動的計画法)などで最適戦略を練る方法である。これは、数学やコンピュータをモデル化の道具として活用しようとする流れといえる。作戦研究としてビジネスにも多く応用されているランチェスター理論は、戦力比の二乗が相手戦力の消耗スピードに比例するという原理を利用して、戦争資源の投入量、投入場所、投入タイミングを決定しようという、資源のシンクロナイゼーションである。
 ランチェスター理論は小売流通業の世界で注目され、売場面積の二乗に比例した集客力が仮説として理論化されて拠点政策に影響を与えた。
 経営資源である設備や人、材料の投入量、場所、タイミングを決定するサプライチェーンマネジメントの意志決定も、経営資源をシンクロナイゼーションすることである。今、IE/ORの流れがインターネット、EDI(電子的データ交換)などの通信情報技術の中で、サプライチェーンマネジメントにつながっているように思う。