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三菱電機株式会社 名古屋製作所 様

三菱電機株式会社 名古屋製作所 様

自社開発によるスケジューラをAsprovaにリプレイス、
スケジューリングの時間短縮と開発工期の削減に大きな効果



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三菱電機 名古屋製作所様は、三菱電機の中でFactory Automation(以下FAと略す)に関わる機器全般を製造している工場であり、約5000名の人たちが働いている。この工場で製造している製品は、放電加工機、レーザ加工機、シーケンサ、プログラマブル表示器、インバータ、サーボ機器、NC装置、産業用ロボットなど多岐に渡る。
このうち放電加工機を製造する工場は、三菱電機の提唱するFA統合ソリューション「e-F@ctory」を実際に導入したモデル工場となっており、2001年、工場設備を入れ替えたタイミングで「e-F@ctory」を導入した。そして、その際に生産スケジューラとして採用されたのが、Asprovaだ。Asprova導入前の課題とAsprovaの採用理由、導入効果などについて、メカトロ工作部放電工作課長の加藤義広氏にお話を伺った。

三菱電機株式会社 名古屋製作所  三菱電機株式会社 名古屋製作所
 ■所在地: 名古屋市東区矢田南5-1-14
 ■設立: 1921年1月15日
 ■資本金: 1758億2000万円
 ■年間売上高: 3兆6041億8500万円(連結)
 ■従業員数: 9万9444名(連結)
 ■事業内容: 重電システム、産業メカトロニクス、情報通信システム、電子デバイス、
  家庭電器の製造、販売 等

■FA 統合ソリューション導入のタイミングで、Asprova を導入

始めに三菱電機の提唱する「e-F@ctory」について、もう少し詳しく紹介しておこう。「e-F@ctory」とは“情報化技術を活用して工場の「見える化」を実現し、生産現場の生産性向上を目指す”というコンセプトのソリューションで、具体的には、設備や装置内部から、生産実績/稼働実績/品質情報といった現場情報をリアルタイムに吸い上げ、情報システムで活用することで、品質/工期/生産性などの改善を支援するものだ。三菱電機では多くのパートナーメーカーと連携しながら「e-F@ctory」をユーザー企業の工場に提供しており、名古屋製作所の放電加工機工場は、この「e-F@ctory」を導入したモデル工場として、施設見学の申し込みが後を絶たないという。

次に、同工場の製造する放電加工機についてだが、これは文字通り、“放電”現象を利用して金属素材を削り、金型などを作るための加工機械で、加工電極に毛髪ほどのワイヤを使用する「ワイヤ放電加工機」と、加工したい形の電極を使用する「形彫放電加工機」とがある。三菱電機 名古屋製作所様ではこの両機種を製造している。
Asprova導入対象となっている製造ラインでは、放電加工機の大型構成部品である「コラム」や「ベッド」などを加工している。この製造ラインは、部材を格納しておく「自動倉庫」、加工ワークを搬送する「無人搬送車」、加工機械としては「横形マシニングセンタ」2基、と「5面加工機」1基より構成されている。

加工ワークが極めて大きいので、加工ワークを固定した状態でフライス加工、エンドミル加工、穴あけ加工、タップ加工といった4タイプの加工処理が施されることになる。固定した状態で加工を行うため、ワークの取り付け面は加工できないので、始めの加工が終わった段階で、部品を裏返しにして次工程の加工を行なうのだ。 冒頭でも少し触れたように、同工場では2001年に工場設備を刷新したが 、 このタイミングで「e-F@ctory」を導入し、合わせてAsprovaを採用した。
三菱電機株式会社 名古屋製作所
■以前のスケジューラは自社開発、スケジューリングにかかる時間も5~10分

同工場で加工を行なう放電加工機において、Asprovaでの計画対象となる加工部品点数は1台あたり約8部品あり、毎月約1300のオーダーに分割された加工工程をスケジューリングしている。これらの作業について、Asprovaはマシニングセンタ等のツール交換などの段取り作業などを含め、作業計画の最適化を行っている。
放電加工機の全体の生産計画については、上位の生産管理システムで管理されており、そこで受注状況も見ながら毎月製造する「台数」を決め、出荷までの「大日程計画」が作られている。その中で、機械の加工工程については、機械1台の製造期間が3~4日間で設定されており、それに基づいて「着手日」と「完了日」が指示されることになる。

Asprovaでは、外注に出すものを除いた機械について、「着手日」と「完了日」の日程を取り込み、まず部品展開し、次に工程展開をし、それを加工機械に割り付けてスケジューリングを行なっている。
Asprovaを稼働するタイミングは、基本的に月1回と、週1回だ。この点について、メカトロ工作部 放電工作課長の加藤義広氏は、次のように説明する。 「月に1回のスケジューリングは、大日程計画に基づいて、加工工程の詳細計画を立案するためのものです。放電加工機の加工工程は、いわば“仕込み生産”のような形で製造しているので、月に1回、生産計画を作れば、基本的に変更することはありません。次に毎週1回のスケジューリングは、投入作業の繁忙に基づいて土曜日の操業形態を変更するためのもので、通常、月曜から金曜までは、ニ交代もしくは日勤プラス残業で従業員が工場を稼働させているのですが、土曜日は操業形態が異なります。それを調整するためにも、Asprovaを回しています」

Asprova の導入以前、同工場ではこうしたスケジューリングを、COBOL言語による自社開発のシステムで行なっていた。その時には、1作業のスケジューリングを1回行なうのに、5分から10分もかかっていたという。「当時は1ヵ月分のスケジューリングを行なうのではなく、都度計画を立てていました。つまり始めにオーダーを日程順に分割しておき、あるオーダーが終わった段階で、残りのスケジューリング対象物の中で、優先順位が高く、取り付け可能なものを、その都度、スケジューリングしていたのです。その1回の都度スケジューリングに、5分から10分、かかっていました」(加藤氏)

また、2001年以前に稼働していた工場設備は1982年に導入されたもので、先に紹介したCOBOLによるスケジューリングシステムもその時に構築されたものだが、この時には、オフコンをFAコントローラとして利用するためのソフトウエアや周辺インタフェース部分も含め、24名のSEが約1年がかり で一連のシステムを作ったという。
■Asprovaの導入でスケジューリング時間が1~2秒に短縮、開発工期も約80%削減

「e-F@ctoryを導入し、新たな情報システムを利用する時には、より速いスケジューリングを実現し、導入期間や導入コストもかけなくてもすむパッケージソフトの利用を考えていました」(加藤氏)
そして導入されたのが、Asprovaだ。導入の経緯を、加藤氏は次のように語る。
「e-F@ctoryの導入が決まりプロジェクトが開始してスケジューラの検討を始めました。その時一番先に情報が入ってきたのがAsprovaでした。また、よく調べていくと弊社の中津川製作所で既にAsprovaを8本導入していた実績があり、話を聞きに行きました。そこでは8本を一気に導入したのではなく、順次、使用する場面を増やしていったとのことでした。『リピートして買い増しながら使っているのなら、それはいい製品なのではないか。」 と思いAsprovaのセミナーにも参加して、これは使えるという確信を持ちました。」

Asprovaの選定ポイントとして一番評価したのは、“スケジューリングの速さ”だという。「Asprovaは、スケジュール自体は本当に速い。1~2秒 もしないうちに結果が出てきます」(加藤氏)
また自社開発のスケジューラーをAsprovaにリプレイスしたことによって、「開発工期は大げさにいえば、約80%は削減できた」(加藤氏)という。 スケジューリング時間の大幅なスピードアップに加え、開発工期の劇的な短縮まで含めて、Asprovaは同工場に対して、大きな導入効果を提供することができたといえるだろう。
■お客様の声

従来のスケジューラは自社開発によるもので、システムの構築に大きな手間がかかっていました。さらに実際の利用場面でも、スケジューリングに長い時間がかかっていたのです。これらの課題を解決するために、パッケージ製品である Asprovaを導入しようと考えました。
三菱電機株式会社 名古屋製作所  メカトロ工作部
 放電工作課長
 加藤 義広氏