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ぺんてる株式会社 様

ぺんてる株式会社 様

ぺんてる株式会社様の生の声でAsprova導入事例をビデオで紹介します。

ぺんてる株式会社では、1996年にAsprovaを導入いたしました。

ERPの導入時にAsprovaとの連携を実現、
在庫の大幅削減と納期遵守率の向上を達成



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ぺんてる様は1946年(昭和21年)、大日本文具株式会社として設立され、絵の具やクレヨンなどの学用文具の製造/販売を開始した。1950年には「ぺんてる」「ぺんてるえのぐ」を発売、1971年に社名を現在の「ぺんてる株式会社」に変更している。1976年には文具業界で初めてデミング賞実施賞を受賞、その後事業領域の拡大を図り、現在ではタッチパネルなど電子機器や産業用ロボットの製造/販売までを手がけている。

同社は1996~97年頃、生産計画立案の自動化を目指して、Asprovaを導入した。その後、ERP導入の際にAsprovaとの連携を図ることで、在庫の削減と納期の遵守に大きな効果を得ている。Asprova導入の背景、ERPとの連携効果などについて、情報システム部 次長の石井文夫氏、茨城工場 企画室の齋藤利弘氏にお話を伺った。

ぺんてる株式会社 ぺんてる株式会社
■本社所在地:東京都中央区日本橋小網町7-2
■設立: 1946年3月
■資本金: 4億5000万円
■年間売上高: [単体]259億万9100万円/[連結]440億万1100万円(2007年3月31日現在)
■従業員数: 853名
■従業員数: 画材や筆記用具など文具事務用品の製造/販売、タッチパネルなど電子機器の製造/販売、産業用ロボットの製造/販売、化粧品部品などのOEM関連製品の製造/販売

■当初のAsprova導入の目的は、生産計画立案の自動化

同社の文具事務用品の製造部門は大きく3つに分かれている。各々、クレヨン/絵の具/修正液などを作る画材製造部、ペンなどの筆記具全般を作るペン製造部、シャープペンとその換え芯を作るシャープ製造部だ。今回紹介するのは画材製造部の修正液を生産するラインで、具体的には、修正液をボトルに「充填」し、次に修正液を出す“前軸”と呼ばれる部品やキャップをボトルにセットする「組み立て」を経て、「箱詰め」されるという流れになる。修正液自体を作るなどの前工程もあるが、Asprovaの導入対象となったのは、この充填 → 組み立て → 箱詰めの工程だ。
同社が生産スケジューラーを探し始めたのは1995年頃で、当時の状況を情報システム部 次長の石井文夫氏は次のように語る。 「私たちの会社では月に1回、製販部門が集まって当月の販売計画を決めています。製造部門はそこで決まった計画を工場に持ち帰り、生産計画を立てる。それが各工程担当者に渡され、次に工程担当者が現場への作業指示計画を立てるのです。修正液の生産ラインにも工程担当者が1人いて、当時はこの作業指示計画の立案に3日もかかっていました。まずはここを自動化したいというニーズがありました」。 ぺんてる株式会社
■登場したてのWindows 95に対応し、計算速度も速かったAsprovaを選択

Asprovaの導入以前、同社はUNIX上で自社開発した表計算ソフトを使ってスケジューリングをしていた。しかし現場からの細かい要望に対応していくと計算速度が遅くなってしまうという問題があり、マスターもデータベース構造で管理されているわけではないので、メンテナンスにも多大な手間がかかっていた。
そうした状態が続いていた1995年、Windows 95が登場し、全社的にUNIXの利用を止めるという動きが出てきたことで、スケジューラーももっと使い勝手のいいものにリプレイスしようという意思決定がなされたという。
「世の中にはスケジューリングをしてくれるパッケージソフトがあるだろうということで、探し始めました」(石井氏)。

提案を受けた製品はAsprovaを含めて3つだ。1つめはUNIX対応のものでコストも高く、またWindows環境への移行を考えていた同社の思惑にはそぐわないものだった。2つめはWidows 95対応という要件は満たしていたものの、サンプルデータによるスケジューリングで15分程度かかり、実際の利用場面では満足のいく速度が出ないと予測できた。そして3つめのAsprovaについて、石井氏は「Widows 95対応に加えて、同じサンプルデータでのスケジューリングで1分もかからないうちに計算結果が得られました」と語る。こうした比較検討を経て、Asprovaの導入が決定された。
■導入後長い期間、Asprovaの計画よりも、現場の作業のしやすさが優先された

Asprovaの導入は1996~97年頃に完了したが、石井氏は「利用を現場に根付かせるという点で、本当の苦労が始まったのは導入後です」と現在までの経緯を振り返る。
その一番大きな理由となったのが、製品を作る順番について、Asprovaの計算結果と現場の要求が合わなかったことだ。例えば、A、B、Cという品目を3つずつ作る生産計画を納期優先のバックワード方式で立てた場合、時としてAsprovaは、A→B→Cという工程を3回繰り返すという計算結果を出してくる。これに対して現場は一番段取り回数が少ないやり方、つまりAAA→BBB→CCCという作り方を希望するのだ。

当時の状況を、茨城工場 企画室の齋藤利弘氏は、次のように説明する。
「Asprovaの計算結果を示して、現場の作りやすい生産計画ではリードタイムがかなり長くなってしまいますよという話をしても、まあそうかもしれないが、やはり段取り換えの回数が少ないほうがいい、ということで落ち着いてしまいました。納期優先、顧客ニーズ優先とはいえ、せっかく導入したAsprovaも現場で使ってもらわなければ意味がありません。まずは利用してもらうことに主眼を置いていました」。

こうして約10年間は、Asprovaで立てた生産計画を現場に見せ、製造の順番などについて現場から出てきた要望が実現可能かをアスプローバ側に聞くという運用を繰り返していたという。つまりは現場の意見を聞いて、Asprovaの設定を調整していたということだ。
「まずは現場にAsprovaを使ってもらう環境を1回作ったということです。しかし顧客志向という世の中の大きな流れを考えれば、最終的には段取り換えを頻繁に行なってでも、Asprovaの生産計画に従ってリードタイムを短くすべきだと考えていました」(石井氏)。
■生き残りをかけて業務改革に取り組み、同時にERPの導入を実施

その後、Asprovaの利用に大きな転機が訪れたのは、全く別のプロジェクトとして立ち上がったERPの導入時だ。同社では2003年から社内の有志が集まり、それまでメインフレームで行なっていた基幹システムの処理を、分散系のERPパッケージにリプレイスしようという検討が始まった。その背景には、国内売上高の減少と、グローバル展開している海外工場も含め、相当数の在庫量を抱えていたことがある。「今のままではぺんてるは生き残れないという危機感がありました」(石井氏)。そこでERP導入の前提となる業務改革と並行して、ERP製品の検討作業に入った。

2004年2月には製品をSAP R/3に絞り、経営層の承認を得て、公式の検討期間に入った。そして2005年10月に導入プロジェクトに着手、2007年7月に導入を完了している。いわゆるビッグバン導入で、基幹システムの全てをERPにリプレイスした。
「全社レベルで業務改革を行ない、同時に基幹システムを入れ替えるという取り組みは本当に大変でした。ただこの時の業務改革で分かったことは、やはり顧客志向の重要性です。コンサルティング会社にも強く言われました。この全社プロジェクトがきっかけで、生産現場の人たちにも顧客志向を強く訴求できるようになりました」(石井氏)。 
■ERPとAsprovaを連携、在庫の削減と納期遵守率の向上を実現

ERP導入を決定した当時、石井氏は生産スケジューラーについてもERP側の機能で代替できると考えていたという。しかし導入プロジェクトを進めていくうちにマスターの設定などが非常に大変なことが分かってきた。 「96~97年のAsprova導入時にも経験していたのですが、生産スケジューラーの導入は本当に大変な作業です。果たしてERPの機能できちんと稼働するのか、大きな疑問を感じました」(石井氏)。

そこでスケジューリングの機能についてはERPの外で行なうことに決め、改めてAsprovaを利用することにした。ERPからデータを取り込み、Asprovaのマスターとマージした上でスケジューリングを行ない、その結果を改めてERP側に戻す、という流れだ。また生産実績を収集する機能もERPのものでは現場の使い勝手が悪いので外付けにすることにした。こうして同社は、業務改革、ERPの導入、周辺機能とそのインタフェースの開発を同時に進めたのである。

そして2007年7月には、Asprovaを含め、ERPシステムが稼働を開始したが、しばらくして大混乱が発生したという。具体的には、生産計画が予定通りに進まず、未出荷分が大幅に膨れ上がってしまったのだ。要は、予定通りに顧客に納品できない、ということだ。
「納期優先のスケジュールをガチガチに組んでしまったため、現場の生産効率が落ちてしまったのです。また未出荷も発生しないという前提で考えていました」(石井氏)。

そこで現場での作業効率を尊重し、段取り換えの回数を減らすというやり方も取り入れていった。また約3ヵ月をかけて、未出荷が発生した時に対応の利くシステムを作った。その結果、2007年11月以降、ようやく運用は落ち着いてきたという。
Asprovaを含めた新しいERPシステムの効果としては、まず未出荷分がそれまでの1/4~1/2に激減したことが挙げられる。また、販売部門から97%を超えると問題が収まると報告されている納期遵守率も大幅に向上し、97~98%にまで達した。

「これらの効果は、ERPだけ、あるいはAsprovaだけでは得られなかったものです。業務改革を行ない、ERPとAsprovaを連携し、さらにリスクヘッジのための未出荷対応システムまで構築したことで初めて表れたものです。今後Asprovaも、単体での利用からERPなど他システムと連携して全社的な効果を出すために利用されるという場面が増えてくるのではないでしょうか」(石井氏)。

現在Asprovaの利用は月1回で、まだ未出荷分の対応に追われる状況が続いているという。「ただ将来的に計画と実績の差がもっと小さくなってくれば、利用頻度も高まると思います。仮に週次で回している状況が実現すれば、計画と実績はかなり近づいており、在庫はさらに減っているでしょう。リードタイムの短縮効果についても、これだけ短くなることで、これだけ効果が上がるという説明を数字で見せることができると思います」(石井氏)。 
■お客様の声

始めにAsprovaを導入した当時は、Asprovaの出した生産計画よりも現場の作業のしやすさが優先され、工程担当者の計画立案作業が自動化できたというレベルでした。しかしその後、ERPとAsprovaとの連携を実現したことで、全社規模の効果を出すことができました。今後Asprovaの利用場面も他システムとの連携に広がっていくのではないでしょうか。

ぺんてる株式会社  情報システム部 次長 石井 文夫氏(右)
 茨城工場 企画室 齋藤 利弘氏(左)