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富士フイルムコンピューターシステム株式会社 様

富士フイルムコンピューターシステム株式会社 様

Asprovaの導入で計画立案期間を20%以上短縮、
計画立案者も半数以下に削減



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1998 年に設立された富士フイルムコンピューターシステム様は、富士フイルムグループの IT 関連業務を担当する情報サービス会社で、グループ全体の情報システムの戦略策定から構築、運用までを手がけている。
今回お伺いしたのは、カメラフィルムやレントゲンフィルムなどを製造している富士フイルム(富士写真フイルムの事業を継承し2006 年 10 月 2 日に設立)の神奈川工場で、これら製品の加工計画立案の効率化などを図るために、同工場では 2004 年 3 月、富士フイルムコンピューターシステムの主導によって、Asprova の導入を完了した。Asprova の導入目的と選定のポイント、実際の導入効果などについて、プロジェクトを担当したシステム事業部ロジスティックスシステム部の小澤達哉氏にお話を聞いた。

富士フイルムコンピューターシステム株式会社 富士フイルムコンピューターシステム株式会社
 ■住所: 東京都港区南青山7-8-1 小田急南青山ビル
 ■設立: 1998年7月1日
 ■資本金: 4億9000万円
 ■従業員数: 130名 (2006年8月1日現在)
 ■事業内容: 富士フイルムグループの情報システム戦略の策定および情報システムの構築・運用

■計画立案作業の効率化を目指して、Asprovaを導入

Asprovaの導入対象となったカメラフィルムの加工工程は、大きく4つに分けられる。先に別工程で製造されたロール状のフィルムは、まず使用サイズの幅に「裁断」され、次にカメラ本体にセットするための穴を開ける処理、「穿孔」が行なわれる。そして“スプール”と呼ばれる芯に「巻込」処理され、最後にプラスチックケースや外箱に納める「外装」が施されて出荷されることになる。細かい工程まで含めると6工程になるが、それらに対して作業申込数が月間600~700あり、1ヵ月間の作業指示数は4000前後になる。製造BOM数は5000~6000だ。また国内品については見込み生産、輸出品については受注生産されるのが一般的である。

富士フイルムコンピューターシステム株式会社

Asprovaの導入以前は、この加工工程の計画立案をホストコンピュータのシステムを使って行なっていた。月度で各工程の各機械について1ヵ月分の稼働計画を立てており、計画立案には約4.5日を費やしていた。またこの時は、ちょっとした計画変更が発生した場合のリスケジュールにも、多くの手間と時間がかかっていたという。
こうした課題を解決し、計画立案作業の効率化を実現するために、富士フイルムコンピューターシステムは、パッケージ製品を利用することで、時間とお金をかけずに、GUI(Graphical User Interface)を使って簡単に計画立案ができる仕組みを構築することを神奈川工場に提案した。そして選ばれたのが、Asprovaだ。その選定の理由を、システム事業部ロジスティックスシステム部の小澤達哉氏は次のように語る。
「実はそれ以前に、工場内のいくつかの製品において、製造計画の立案にAsprovaを使っていたという実績がありました。製品が異なるとはいえ、製造工程は基本的に似ています。Asprovaは、カメラフィルムの加工工程にも適用できるだろうと考えました。また比較的安価に導入できるということも、大きなメリットでした」。
富士フイルムコンピューターシステム株式会社
こうしてAsprovaの採用を決定した後、実際の導入プロジェクトは2002年後半から始まり、約1年半後の2004年3月に完了した。
■独力で導入を推進。Asprova の機能とアドオン部分の切り分けに苦慮。

Asprovaの導入に当たって、システム開発会社などの助けを借りることなく、富士フイルムコンピューターシステムが独自でシステム構築を推進した。それというのも、当時は部門の統廃合や機械の移設が進み、また複数工程を一緒にできる機械が登場するなど、グループを取り巻く環境の変化が激しくなり始めていた時期で、こうした状況の中で、情報システムを外部に依頼していたのでは、時間もお金もかかることになる。そこで同社が主体となって、Asprovaの導入プロジェクトを進めたのだ。

当時を振り返り、小澤氏は次のように語る。「100%自社の技術力で導入を完了させたのですが、Asprovaを理解しながら、また現場での制約条件や体制を学びながらのプロジェクト進行だったので、パワー的にかなり厳しいものがありました。しかしAsprovaは論理的に仕組みが作られており、インプットされたデータが処理プロセスを経てアウトプットされるまでの流れが分かりやすく、扱いやすいツールだと感じました」。Asprovaの導入によって完成した一連のシステム概要としては、受注データと見込みデータを「製品需給システム」が受け付け、対象製品の販売予測に対して在庫引当を行ない、実際に作って欲しい数量をAsprovaに伝え、それに基づいてAsprovaが日程計画を立てるというものだ。

申し込まれた数量データの変更や、包装材を予算枠に応じて内作/外作に振り分けるといった処理は、ユーザー側の作業としてアドオンシステムで対応している。小澤氏はこの「Asprovaで対応する部分とアドオン部分の切り分け」も苦労した点として挙げる。
またマスター登録システムを自前で作り、環境変化が発生した時にも、ユーザーの手間が極力少なくなるように工夫した。
■「新しいツールの導入」に反発する現場には、全社メリットを伝えて理解を得る

導入プロジェクトを進めるにあたって、小澤氏は“現場のコンセンサスをいかに得るか”にも十分に配慮したと語る。
「新しい仕組みを入れようとすると、変わることに拒否感を示す人はやはり出てきます。現場に都度足を運んで、人間関係を築きながら、全社レベルでの効果を訴えながら、Asprovaの導入に対する理解を得ていきました」(小澤氏)。

例えば、従来1000本単位でフィルムを作っていたという時に、Asprovaは「時間」単位で資源能力を割り当てるので、どうしても作る「本数」 には端数が出てきてしまう。こうした変化に、現場のライン長が難色を示したのだ。しかし現実的に不可能な対応ではない。
「このような場合、日程計画を速く立案できるようになれば、その分包材メーカーへの包材発注も速くなり、納入も円滑になるというメリット を強調しました。また営業に対する納期回答も速くなり、それが輸出時の船積みや国内倉庫に配分する計画立案の迅速化にも結びつきます。そうしたメリットって大きいですよね、というお話もしました」(小澤氏)

Asprovaの実際の導入効果としては、大きく次の2つが挙げられる。1つめが、計画立案時間の短縮で、これまで時間をかけて行っていた計画立案作業の20%以上の時間短縮を実現した。
そして2つめが、以前は、部門別、工程別に複数名いた計画立案者の数を半分以下としたことである。また、過去に立案担当者の頭の中だけに蓄積されていた「各工程間の滞留本数」などの”暗黙知”を、可能な限りAsprovaの計画パラメータとして切り出し、さらに新たな立案担当者へ引き継ぐことによって、これまで分散していたノウハウを、システムと人に集約することが実現できた。

この他、写真フィルムの加工工程では、Asprovaの導入によって計画立案作業の2~3割を自動化しているが、この点について小澤氏は次のように言及し、最後を締めくくった。
「今回のAsprova導入の目的は、まず計画立案作業の自動化・効率向上であり、それが計画立案時間の短縮と計画立案者数の削減に結びついています。この2点は達成されているので、私たちは今回のプロジェクトを十分に評価しています。今後は、この計画立案自動化の対象範囲を広げて、さらなる効率向上を検討していきたいと考えています」。
■お客様の声
当時急激に変化するビジネス環境に対応するため、カメラフィルムの加工工程には、計画立案作業の効率化が求められていました。そこで他製品の計画立案にも実績があり、導入コストも比較的安価なAsprova の利用を考えました。
富士フイルムコンピューターシステム株式会社 システム事業部 ロジスティックスシステム部
 小澤 達哉氏